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優しさに包まれてしまいたい
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保健室の先生の好意を断ってボクは一人で帰ることを選んだ。
送ってもらえるまでは優しさに包まれて心地いいかもしれない。
けれども、いざ家の中に入れば孤独に包まれて寂しさが生まれる。
それが悲しくて優しさを振り切った。
鞄を取りに教室に向かう。
教室の戸を開けると一人の姿。
今日は日直だったのか日誌を書くキミ。
あー、なんで今日なのだろう。
鞄なんてとらずに逃げようか??
その選択肢も確かにあった。
でも、いつまで逃げ続けるの??
ボクが選んだのはキミからの自立だ。
立ち止まった足を動かして教室に入る。
音をたてまいとしたのに鞄をとる時にかたんと音がした。
その音にキミが振り向いて、ばっちりと目があう。
キミは口を開こうとしたが先ほどのコトを考えたのだろう、半分まで開いた口をしめて悲しそうにボクを見た。
そんな目で見ないで。
まるでボクが間違ったことをしているみたい。
今のコレが最善の選択なんだから。
鞄をとってボクは廊下に駆け出した。
目には涙が溜まっていて上を向いた。
涙がこぼれ落ちないように。
泣いちゃダメ、泣いちゃ……
息を切らせてボクが行き着いたのは家ではなく通学路の途中にあるペットショップ。
そこに入荷されてからキミと下校途中に何度も見たうさぎさん。
丸い瞳がボクを見つめてる。
飼ってくれないの??
そう今日も目で訴えてくる。
飼いたいよ、君を…でも、出来ないんだ、よ。
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