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3.これはチャンス。
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「鈴木さん!沖縄の撮影とか入れて!」
『はあ?悟…今何時や思ってんねん』
「ええからお願い!来週なんか撮影ないん?」
『…無いこともないやろうけど、自分が、松田さんと離れるんは嫌って、東京離れるんいややー言うて駄々こねてんねやろ』
「事情がかわったんやって!」
『…松田さんか』
「そう!!!」
『…また明日話聞くから、とりあえず顔むくまんよう、早よ寝え』
ツーツー。
電話を切って僕はさっさとベッドに入った。明日は忙しい。スケジュールを緊急で調整しないとあかんくなったんやから。今日は木曜日。明日金曜日。友希は来週行くって言うてた。てことは、日曜日か月曜に出発ってこと?
「あーっっもう!友希の馬鹿っ!って嘘っごめんっ」
本人いないのに、悪態ついて謝る自分が馬鹿みたい。とにかく今日は寝よう。明日鈴木さんに相談に乗ってもらうんや。
携帯のアラームをいつもより五分早くセットして布団を頭から被った。
*****
「おはよーさん」
「おはよう、鈴木さん!」
「話は車ん中で聞くから早よ乗れ」
「うんっ」
今日も朝から決まってるね!男前やで鈴木さん。いつもは車の後ろに乗るんやけど、今日は助手席に乗り込んで鼻息荒くしてると鈴木さんが缶コーヒーをくれた。
朝必ず飲んでるブラックのお気に入りを開けてぐびぐびと飲み干して(いつもはぐうたら飲んでるからそれはそれで鈴木さんに怒られる)ぐいと口元を拭った。
「おーおー、いつもこれくらい元気よかったら俺も相当楽やねんけどな」
「いつも僕元気やで」
「松田さんといいことあったときだけやんか」
「え?なに?」
「なんもない。で、どうした?昨日突然電話してきて沖縄仕事入れろやなんて。今日雨降るんちゃうか」
「人聞き悪いこと言わんでよ。僕やって色々大変なんやで、鈴木さん!」
「はいはい。で?」
「それが…」
僕は昨日のいきさつを全部話した。事務所に着くまでに話を終らせとかんとまた社長に言う時に援護してもらえんから、僕は必死にお願いした。
信号が赤になって停まった時に鈴木さんが深く溜息を着く。
「はあ。…悟、自分どこまで子供なんや」
「子供でも大人でもどっちでもええよ、兎に角友希を沖縄に一人で行かせるなんて、あかん。ましてや、高橋先輩が一緒やなんて絶対あかんし!なっ、わかってくれるよね、鈴木さんっ」
「わかるか」
「えーっっ」
即答されて僕はめっちゃ喚いた。助手席に座ってるからってサングラスをかけるように渡されて、僕はそれをかけてからもっかい鈴木さんに問いかける。
「絶対高橋先輩、友希のこと狙ってんやって!僕わかるもんっ」
「…もんって。ほんま、悟は松田さんのことになると見境なくなるのな」
「一途って言うて」
「…ま、理由はなんにしろ悟がやる気になってくれたんは棚から牡丹餅やなぁ。東京限定から、いきなり沖縄の仕事請ける言い出したんやから。うーん、よしとするか」
「ほんま!?」
「ただ俺はええけど、最終的に実権握ってんのは社長やからなぁ。あいつに言うてどう返ってくるかやからな。わかってると思うけど」
わかってるわかってる!ちゃんと自分で言うって、鈴木さんにはお手間は取らせませんって!
とりあえず味方を作ることができて僕は安心から眠くなってしまい、そのまま事務所まで寝た。昨日はベッドの中で色々考えて結局あんまり眠れんかってん。寝たら、夢で友希と高橋先輩がちゅーしてるとこにばったり会うっていうとんでもなく不吉な夢を見せられたもんやから寝るのが怖くて。
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