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4.僕のお願い聞いてください。
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事務所に着いたところで鈴木さんに揺り起こされた。眠い目を擦りながら入って行くと、既に出勤してるという社長室に向かう。
結構おっきい事務所なんやでここ。そんな事務所になんで僕がいるかは、そうやね、いつか話すことあるかもね。
ま、兎に角ばたばたと社長室に向かってばーんとドアを開いた。僕の後ろから鈴木さんも着いてきてくれてる。
「社長!おはようございます!」
「…自分がそんなテンションって、なんか企んでるやろ」
「えっ!?」
もーやだなぁ、なんでこの人ってこんな鋭いんやろ。
冷静を装ってから社長の席の前に立つ。革張りのソファーにでーんと座った社長は眼鏡を机に置いて僕を見上げた。そして僕の後ろの鈴木さんをちらと確認してからコーヒーをぐびと飲んだ。
「鈴木ぃ、ちゃんと躾けしとんのか?」
「しとるわ」
「ふーん。で、なんや悟。休みくれとかやったら、あかんで」
「ちゃう!沖縄仕事ちょうだい!!」
「…どうした?熱でもあんのか?」
また言われた。鈴木さんといい、社長といいどんだけ僕が仕事嫌がってると思ってんの。
「熱とか無いし、僕は純粋に仕事がしたいだけです!」
「嘘付け」
「鈴木さん!」
こうなったら鈴木さんに応援してもらう。社長は鈴木さんに甘いから。スケジュール帳を捲りながら鈴木さんが応接セットに座った。ぺらぺらと音がした後に、
「ええんちゃう?来週ちょうど沖縄撮影のオファー来てたしな」
「…珍しいな、鈴木がすんなり通すなんて」
「まあな、うちの稼ぎ頭やし、これきっかけに仕事は幅広げられたらちょうどええんちゃう?」
「そうそう!」
「ふーん。…どうせ松田やろ」
「ちょっと!呼び捨てせんといてっ」
社長は友希のこといつも呼び捨てにする。なんか自分のモンみたいな言い方がめっちゃ腹立つねんけど!
社長の机に手を着いて、にじり寄ったら悪びれもせずに言い放たれた。
「松田は松田やろ。何が悪いんや」
ほんまにこの人、口悪い。ぶすくれてると鈴木さんがまあまあって肩を叩いて僕をイスに座らせた。
「さ、時間もないし今日の仕事始めんで。悟はメイクルーム。鈴木は会議。はい、行った」
「「へーい」」
よく分からんけどこれって、沖縄仕事入ったてことやねんな?
よし!これで友希に着いて行ける。でも、当日まで、いや、現地まではナイショにしとかんと友希に怒られるから向こう行ってから驚かせるんや。たまたま仕事で来てて、って。鈴木さんも一緒やったら友希も疑わんやろうし、高橋先輩と二人きりにせんですむし。そうや、ホテルもリサーチして一緒んとこにせな!
「鈴木さん、ホテル僕が決めてええ!?」
「…ええよ」
「じゃあ、明日まで待ってな。じゃあ今日仕事頑張るから!」
「はいはい。あ、松田さんにあんま迷惑かけんなよ」
って、バレてるし。
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