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6.なんでいるの?
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なんか、ホテルのフロントが騒がしい。
きゃーっと女性の黄色い声が聞こえた。なんやろ、なんかあったんかな?
「諒、なんかあっちうるさくない?」
「え?そう?」
俺の前をゆっくり歩く諒が振り返って俺越しにフロントを覗き込むような仕草をしてからそっけなくそう答えた。特段興味の無い顔してる。
朝食を採ってからしばらくゆっくりした俺らは、カフェにでもいこかということになって、今部屋から降りてきたところ。エレベーターから降りてフロントを通り過ぎてカフェにもう直ぐ着くって時に、後ろから上がった歓声に耳を奪われて振り返った。
「ええやんそんなん、はよいこ」
「うん」
諒がまた前を向いてしまってそのまま歩き出した。でも、なんか気になる。俺はもう一度振り返った。
「あ…」
あいつ、なんでここに…?
気付いてしまった。歓声の理由に。サングラスも、帽子もなんもしてない、スーパー無防備な中村。いるはずのない中村がほんの数メートル先できょろきょろと辺りを見渡してる。何かを探すようにしきりに頭を振ってロビーに向かおうとしている。
やばい、あいつどこ行くつもり?っていうか、どんだけ騒ぎになってるか気付いてへんの!?
俺と反対の方向に行こうとする中村に向かって思わず声をかけた。
「なか、やなくて、おいっ!」
結構離れてますよ?ただ、そんな距離をものともせずに一発で振り返った中村は、ぱああぁっっと明るい表情で笑顔満点で振り返ると、
「友希!!」
いやいや、だから目立つんやって自分。そのままだーっと俺に向かって走ってくる。諒が後ろで「なにっ!?」って呟いたのが聞こえたけど、とりあえず無視してカバンから自分が使おうと思ってた珍しく大人しい色の帽子と、サングラスを取り出して、中村が来るのを待った。
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