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19.あいつの狙い。
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そんなこんなでまた一ヶ月が過ぎた。
松田くんと悟を見つけてから二ヶ月が経つと、松田くんは三年生になっていた。(もう一ヶ月も話してたら二人のこといろいろわかるわ)一つ下の悟もちゃんと進級して二年生。松田くんは今年受験生で、美大を目指していると聞いていた。
本当は、松田くんから断りの電話は何回もあった。「僕にモデルなんて務まるとは思えないし、デザイン関係の職に就きたくて美大を目指しているので、声を掛けて頂いてありがたいんですが、お断りさせて下さい」ってものすご丁寧な。
それでも上坂は二人の前に現れ続けた。
「松田くんvvv」
モデルのスカウトとかやなくて、単なるナンパなんやないかとか疑ってしまうほどに、上坂はしつこかった。そして、横にいる悟とはほとんど話をせず、最後に決まって名刺を二人に渡した。
悟が上坂を苦々しく思ってるのは分かっていた。自分に声を掛けないからやない。松田くんを手に入れようとしている、敵だと認識していたからや。いつもなにかしら食べてる悟やったから、申し訳なさもあった俺は有名なケーキ屋のケーキを買って行った。
相変わらず上坂が松田くんに話しかけてる横で渡そうとしたら、
「これ、後で二人で食べて。いつも迷惑かけてごめんな」
「いらん」
即答やった。むしろ喰い気味や。
「・・・そか」
ぎりぎりと音がするんやないかと思うくらい口を真一文字に結んで上坂を見て、いつものように松田くんの腕を掴んだ。
「友希、そろそろかえろ」
「あ、うん。ほならさよなら、上坂さん、鈴木さん」
「ばいばーい」
「ゴメンな、松田くん」
にっこり。ほんまにできた子や。
帰って行く二人にまた手を振って、「ほな、俺らもかえろか」いつもの様に鼻歌交じりに、事務所に帰った。
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