アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
21.それでも俺はお前の味方。
-
「俺も騙されてたってことやんな~。最初で最後にして欲しいわ」
「え~なになに?鈴木さん、オレオレ詐欺にでもあったん?」
いつの間にか撮影が終った悟が、ぴょこぴょこと隣に現れた。無邪気な顔して笑ってやがる。水を渡して髪に着いてたゴミを取ってやる。
「なんでもない。おら、巻きで終らせるんやろ?松田さんとの約束何時や」
「九時!そや!はよ終らせんと!」
「はよ着替えてこい」
「ふえ~い」
あの時の、上坂を殺しそうな勢いの目力はどこへいったのやら。へらへらと笑ってスタイリストと消えていく。
あの日悟が帰った後に、上坂を問い詰めた。
『ん?なんや鈴木、本気で俺が松田くんを狙ってるっておもたんか。まだまだ甘いな~。ちゃうで、悟を手に入れるには、松田くんを使った方が早いって思ってなー。やって、悟、松田くんのこと大っっ好きやろ?なんの為に二ヶ月も時間費やした思ってんねん。閃いたんよね~、松田くんを追い詰めたら絶対あいつが出てくるって。しかも、あほなくせに一人でな。そしたら案の定や、けけけっ』
それで名刺を二人それぞれ渡してたんか。
『自分・・・ほんま、最悪やな』
『えー?褒めてくれてんの?それ』
『どっちでも』
上坂の目利きどおり、悟はモデルとしてデビューして直ぐに大ブレイクして、二年足らずで今やもう、うちの事務所の看板にまでなった。
天才と天才が出会うって、こういうことなんかな。
「巻き込まれた松田さんはほんまに迷惑やったやろうけど。・・・今度改めてなんかお詫びしとこ」
幸いなことに、悟は今の仕事を少なくとも好きでやってる。それだけが救いや。
俺は上坂の腹心やけど、お前の味方やからな、悟。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
21 / 41