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26.雨降る二人。
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かなりの降りっぷりで、僕のジーンズの裾はあっという間にびしょびしょ。こういうとき短パンを履けたらと思うんやけど、身長的にそれは難しいのはわかってるから仕方なくジーンズを履いてる。
友希の大学の門のとこで一度、二度、うろついた。明らかに挙動不審なんはわかってるけど、いざ大学まで来るとなかなか入りづらい。友希以外に知り合いなんておらへん僕は、中を覗きこむようにしていったり来たりを繰り返した。
「来ぉへんなぁ」
あ、諒ちゃんも知ってたわ。
そんなどうでもいいことを考えてたら、ほんまにそのどうでもいい人がこっちに向かって歩いて来るのに気付いた。変に意識したから見つけてもうたやんかぁ。なんか腹立つ。
向こうも気が付いて一瞬足を止めたのがわかった。ほんまに嫌われてるなぁ、僕。ライバルやから仕方ない?
「お前ほんま来んなって何回も言うてるやろ」
「諒ちゃんに会いにきたんとちゃうし」
「当たり前や、きもい」
ひっど!人格崩壊者や絶対!無視無視、僕が探してんのは友希やし。雨もどんどん降ってくるし、友希は見当たらんし、
「なー友希は?」
「・・・」
「傘持ってきてん。雨濡れたら風邪ひくやろ?」
「まだゼミの部屋おった。俺が持ってく」
「えー、おかしいやんそれ。教室知ってるから僕持ってってくる」
「って、お前が大学ふらふらしてんのがおかしいやろ、って人の話聞けーっっ」
うるさいなぁ、僕は急いでんの。
ほんまに友希のゼミの部屋知ってる僕は一応傘を前倒しにして顔を隠しながら一目散に進んだ。なんかええなぁ、楽しそう。ちょっと前までは僕もこんな感じでがっこ行ってたんやなぁってしみじみ思った。
でも、今も十分楽しいし、友希はいつも傍におってくれるし、文句なしやな。うんうんと軽く頷くうちに友希のいる部屋の前に着いた。油絵の具の匂いがしてドアをゆっくり引くと、中でバックに荷物をつめてる友希がおった。向こうを向いてしゃがんでるからいつもよりもちっちゃく見える。
「かわええ・・・」
「・・・ん?中村!?」
「あ」
あかん、心の声が心の中で収まってくれへんかったみたい。僕の呟きに友希が振り返った。おっきな目をくりくりさせて、驚いた顔してる。ぱたぱたと寄ってきてその大きな瞳で見つめられた。
なんでこんなとこおるの?そんな顔してる。
「中村、なんで」
「傘持って来たよ、友希」
「・・・ありがと」
「うん」
深く聞くこともなく、にっこりと笑った。あ、ほんま可愛い。
もっと怒られるかと思った。目立つからちゃんと変装しろとか、眼鏡は?とか。そもそも論、こんなとこ来たらあかんとか。でも友希は僕の予想に反して素直に傘を受け取り嬉しそうに笑ってくれた。
ちょっと待っててといって直ぐにバッグを持って戻ってきた。帰ろう。そう言って教室のドアを閉めた。
廊下を歩いてて、
「なんか中村と大学通ってるみたいやね」
「うんvvなんか新鮮」
「ほんまに」
僕が思ってたことを友希が口にしたときはドキッとした。見透かされてるみたいでなんか恥ずかしい。でも友希も同じこと思ってくれてたんかと思ったらなんか嬉しい。
「結構降ってるからどうしよか思ってたんよね」
「そうやろ!絶対友希が困ってるやろなーって思ってん」
「今日バイトもないし、たまったDVD観ようって思ってたからはよ帰りたかったんよね。助かったわほんま」
「なあなあ、仕事まで一緒に観てええ?」
「ちゃんと仕事行くならな」
「行く行く」
きゃはと笑って、僕の差し出した傘を受けとって校舎を出ようとした。そんとき
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