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39.ずっとあなたが好きでした。
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いつも通りの日々が戻った。
あの撮影からも友希はなんの変化も無く、いつものように僕に朝ごはんを食べさせてくれてから学校に行っている。食べた後を片付けながら、イスに掛けられた友希のエプロンを見つめる。去年の誕生日に僕が上げたエプロン。笑い半分、本気半分、ピンクのフリフリのエプロンをあげたら
「なんこれー!俺が着るの!?馬鹿にしてんのかっ」
って笑いながら直ぐに着けてくれた。そしていつものように首を傾げながら僕を見上げて
「でも、ありがとな?」
って言ったのをめちゃくちゃ鮮明に覚えてる。やって、鼻血噴きそうやってんもん。当たり前やん、友希のフリフリエプロン姿やで。自分で仕掛けたことを死ぬほど後悔して、死ぬほど喜んだ。
「たまには僕が晩御飯作ろうかな」
友希は少食で、いつも僕に合わせて作ってくれてるから、今日は友希の好きなもん作ったろ。なんがええかな?ハンバーグ?グラタン?カレー??あ、これって僕の好きなもんや。
よし、よう分からんからカレーにしよ。
今日は休みを貰っていた。友希と話をしようって決めてたから。鈴木さんからは無言の圧力、社長からはもろ圧力かけられたから、ほんまに今日、決めたらんと!
・・・・・・・・、で、結局こうなるんよね。
目の前にはできたてのほかほかカレーライス。
今日ご飯作っとくメールをしたら直ぐに「どうしたん?雨降るんとちゃう?」ってめちゃ失礼な返事が来て、でもそんなんもう今日は気にしてられんから僕はマンションの隣のスーパーに買出しに行った。隣のスーパーのレジのおばちゃんはもう顔見知りやし、今更変装する必要もないからほんまに楽。
「あらー、めずらしなぁ。今日はおつかい?」
「違います!・・・カレー作ろう思って」
「そうなん?せやったらあと、なにか足らんで、中村君」
「え?!なに、なにが足らへん?」
「カレーの素」
「あ!」
「ほんまに大丈夫かねぇ?松田君に任せた方がええんとちゃう?」
って、スーパーのおばちゃんからもありがたいツッコミを頂きまして、やっとこ晩御飯の材料も揃ったら、やれ分量だ、やれ材料炒めなあかんだのと、料理するってほんま大変なんね。あれよあれよというまに夕方になり、(いや、晩御飯の前に掃除もしよう!ってやりだしたのがそもそもの失敗やった)鍋を出してると、
「ただいまー、中村ー?ごはんできた?」
友希が帰って来てしまったと。
鍋を手にしてとてとてと友希をお出迎え。無言で立ち尽くす僕を見て「ぷっ」友希は小さく噴出した。ひどいっ!がーん!ってよろけそうになる僕に慌てて手を伸ばしてくる友希。
「ごめんごめんっ、中村頑張ってたんやろ?エプロンめっちゃ汚れてる。もしかして掃除もしてくれたん?」
「・・・(こくん)」
「ありがとなー、最近サボってたから嬉しいわ」
「・・・友希っ」
「あー、はいはい。ほな、ご飯は俺が作るな?疲れたやろ?」
「ごめんなさい」
「なんで謝んの?俺はありがとって言ってんの」
ふふふっていつもの優しい笑みを零して、どさくさに紛れて抱きついた僕の頭をぽんぽんしてからキッチンに入っていった。
あああっ!なんて猛烈可愛いんや!頑張ってご飯作って良かった。褒められたし!結局ごはんも美味しいの食べれるし!
結果オーライってことで良しとしよう。張り切ってつけたエプロンを洗面所に置きに行ってからキッチンに戻ると既に、手際よく野菜を切る友希が見えた。
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