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41.ずっとあなたが好きでした。
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「おわっ、なん?どうしたん?」
「いや、あの」
「なんか、変やよ?疲れ取れてへんのとちゃうか?はよ帰って、」
「友希、好き」
「え?」
「好き、友希が好き」
「え、ちょ、何?」
「もー、ほんまこんな告白の仕方しかできんなんて最悪、でも、友希が好きなんやもん。大好きなんやもん」
「・・・」
抱き締める友希の小さな身体が強張るのがわかった。あ、やばい、でももう止められん。僕の気持ちもう押さえられへん。口を突いて出るのは、今まで散々考えたカッコつけた台詞なんかやないありきたりな、ストレート過ぎる子供の告白。でも一番正直な気持ちやし、僕は止めることが出来んかった。
「ずっとずっと、友希が好きやってん。・・・・・・・初めて会った時からずっと好きやってん。もう、ごめん、ほんま最悪。もっとカッコつけて言いたかったんに、あーもう!」
僕の腕の中で身体を小さく固めて何も言わない友希。あかん、どうしよ。もう後には引けへん。濡れた髪が頬に当たって冷たい。髪が乾き始めてほんのり温かい空気が漂う。
「ずっとあなたが好きでした」
そうだよね、どうしていいかわかれへんよね。単なる友達って関係の、しかも男にいきなり抱き締められて好きって言われても、どうしていいかわらかんどころか、キモイって思われても仕方ないよね。途端に怖くなって、僕は抱き締めてた友希をゆっくりと解放する。
あかん、友希を困らせたくてこんな告白したんやない。そうや、僕は自分のことしか考えてへんやった、気持ち押し付けた形での告白なんて、相手を困らせるだけって、今の今になって気付くなんて。
「友希・・・、ごめん。今僕が言うたこと・・・忘れて。ほんま、困らせてごめ、」
「なんで!」
「え?」
「なんで、忘れてなんて言うん?」
解放して肩を掴んで、少し震える友希を覗きこむように背を屈める。そこには、大きな瞳を潤ませて唇を噛む友希の顔。
え?なに?どういうこと?
「なんで、忘れてなんて言うんよ。・・・嬉しかったのに」
「え?」
「勝手に涙が出るくらい、嬉しいのに」
「友希、え、友希?」
「俺の気持ちも聞かんで、勝手に言うて、勝手に忘れてなんて、ほんまに勝手すぎるやんか」
キッと僕を睨みつける大きな瞳。握り締めてた手で僕のシャツを掴んでぐいと引っ張られる。たった今解放した友希とまたくっつく形になった僕は、友希から両手を離してしまった。それでも引っ張られるこの体。
「俺やって、好きやのに・・・」
「え、」
「俺も、中村のこと、好きって気付いて、どうしたらええかわからんくて。でも、中村困らせたらあかんっていつも思ってて、苦しくて、悲しくて、せやから、めちゃくちゃ嬉しかったのに、なんでそんなこと言うんよ」
「友希・・・ほんまに?」
「こんなこと、嘘で言えるわけないやん。だから、」
「友希!!」
ぎゅううううっ。
もう、なんも言わんで。嬉しい、めちゃくちゃ嬉しい。ずっとずっと友希のこと想って、いつかいつかって思ってた。
「ほんまに?ほんまに、僕のこと、」
「好き」
「友希~っっ!大好き!好き好き好き!」
「苦しい・・・、中村ぁ」
「やって、嬉しいやもん!」
ぎゅううって抱き締める腕の中から小さく「ほんま、子供なんやから」って聞こえた。
これからきっと、僕らには大きな幸せと大きな不安が待ってる。でもこれだけは言える。僕は友希を絶対守るよ。せやから、いつまでも大好きでおらせてな?
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