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澤木
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目玉焼きとコーヒーがセットされてる食卓に一人でつき、両手を合わせて、いただきます、と小さく声に出す。
焼き立てパンは紙袋の中に入っていて、まだほかほかでふわふわだ。薄めにスライスされてるのが好きだが、これはあたたかいうちは5枚切りが限度なのだろう、厚い。
「…美味しい」
もきゅもきゅ、と口の中で咀嚼し、男もあったかいうちにこれを食べたかっただろうなあ、と窓の外を見る。
空は青い、雲もほとんどない、いい天気。
9時まではまだ1時間はたっぷりあり、コーヒーメーカーにはおかわり分もある。
明日はもう仕事だけど、今日は休みで。
本当は、朝から、一緒にご飯を食べてドライブがてらアウトレットに行き、家に送ってもらうはずだった。
予定が1時間ずれるだけになるのか、1から見直しになるのかは今、喫茶店で行われているだろう打ち合わせ次第だ。
「…仕事のほうが大切ってことくらいわかってるんだけどさぁ」
指先で食パンを縦に細く裂き、カフェオレに浸す。
子供のころによくやった食べ方だ、これをやるとカップの底にパン粉がたまり、最後まで飲めなくてよく母親に叱られたっけ…。
まあいいや、とりあえず、朝ごはんを食べ終わって。
布団くらいは干しといてあげよう。
仕事がありそうだったら一人で映画にでも行くか、と。
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