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高級ホテル
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その日のうちに、浅黄は閉じ込められていた部屋から出された。
新しい服や靴も用意されていた。サイズはぴったりだった。
彼がいたのは、田舎の一軒家だった。
1週間ほど、そこで体力を回復させるよう指示された。
その間、3人組も藤原も姿を見せなかった。
70歳ぐらいのおばあさん一人が、彼の面倒を見た。
ある日、スーツに着替えるように言われ、1台の車が迎えに来た。
都内の高級ホテル前に停まると、降りるように言われた。
ロビーでは藤原が待っていた。
「1012号室だ。そこに綾倉氏がいる。
ドアをノックすれば開けてくれるだろう」
浅黄は重い足を引きずってエレベーターに向かった。
「久しぶりだね」
浅黄の顔を見て、綾倉氏は満足そうに言った。
浅黄は軽く会釈した。
広くて、贅沢な部屋だった。
綾倉氏の指示通り、シャワーを浴びて、バスローブに着替えた。
そのままソファーに座り、ついていたテレビを、いつになく真剣に見た。
正確に言うと、真剣に見ているふりをした。
綾倉氏の視線を感じながら、声をかけられるのを恐れていた。
「こっちに来なさい」
綾倉氏はベッドルームに来るよう、浅黄を促した。
浅黄はテレビを消し、ベッドに腰かける綾倉氏の斜め前に立った。
「あなたは何でも頼みを聞いてくれるって、藤原さんが言ってた」
「私は相手が喜ぶ顔を見るのが好きだからな。
早速、何かあるのかい?洋服か、馬か、家か?」
「俺を抱こうなんて考えないでほしい」
綾倉氏は少し黙った。
「今まで、そんな頼みをしてきたのはいなかった。
お前の頼みは、私が楽しみを与えるものじゃなくて、私から奪う種類のものだ」
「だめですか」
「いずれ抱かれるんだ。そんなにもったいぶってどういうつもりだ」
「もったいぶってるんじゃない。いやなものは嫌なんだ。俺はゲイじゃない」
綾倉氏の右手が動くのを目の端でとらえた瞬間、浅黄は左頬に激痛を感じた。
綾倉氏の右手には鞭が握られていた。
今日、綾倉氏はオーダーしていた乗馬用のヘルメットとブーツを買いに行った際、
店からサービスとしてもらった短鞭だった。
綾倉氏は長鞭を愛用していたので、誰かにあげようと思っていたものだったが、
こんな風に使えるとは。
「分不相応な頼みなどするんじゃない。よく覚えておけ」
朝倉氏は、浅黄のバスローブを脱がせると、ベッドに引き入れた。
「男とは初めてか?」
「はい」
浅黄は、今、自分がされていることは、薬物が見せる幻覚だと思い込もうとした。
実際、こんな目にあわされる幻覚を見たじゃないか。
ここまで考えたとき、彼は絶望的な気分になった。
「初めてじゃない」
浅黄は声に出して言った。
「あの大男にやられた。あれも、あなたの指示だったんでしょ?」
綾倉氏は何も答えなかった。
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