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気をつけなくては、この俺が迂闊に変な事を話せば周囲にゲイだと疑われる。
世間ではスパダリ枠に入ってもおかしくないこの俺が『腐男子臭』」を出した瞬間命とりだ。
会社では若くして課長の座に君臨するやり手のリーマンで、男女問わずにあこがれ(自称)の的の俺が、よりによってゲイで腐男子だとバレだらホントに会社に居られなくなる。
「いかん、ホントに気をつけなくては………!」
シリアスな真顔で壁に寄りかかると、ネクタイを緩めてシビアに現実を考えた。ゲイで腐男子を隠してこのままノンケで課長の座とメンツを守るか、一層堂々と腐男子を公の場に曝すか。こんな時にはBL漫画を読んで朝から一発スカッと抜きたいくらいだぜ。
ゲイで腐男子か、それともノンケを装って課長の座と肩書きを守り抜くか。俺が全て完璧な人間であるがゆえに世間様に腐男子である事を隠して生きなくてはいけないと言う罪深さに一層、薔薇の十字架に磔にされてもおかしくは無い――。
「フッ…――。なんて罪人だ。潮海陸斗よ。お前の存在は世界さえも壊してしまう勢いだぞ」
物凄く真剣な眼差しで切なく悩むと、鞄を落として壁に片手で手をつくと、自分の世界に存分に酔いしれた。
「ああ、きっといつか十字架に磔にされる。俺は罪深い男だ。なあ、そうだろ?」
「あの……!」
「整った容姿、高身長、高学歴、高収入、そして大人の男としての魅力。これ以上に条件が揃った男なんかは、お見合いサイトや出合い系サイトで検索してもなかなか揃わないぞ」
「あの…――!」
『誰だ!? さっきからうるさいな!!』
「あっ……!」
後ろを振り向くとそこには寺島がいた。
『なっ……!!』
アイツは驚いた顔で俺の事を見てきた。
「げっ、寺島…――!」
「潮海課長、鞄を落としましたよ!」
寺島はそう言って鞄を拾うと俺に渡してきた。
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