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「あの……! 僕が淹れたコーヒー、苦かったですか? その、不味かったですか?」
寺島はお盆を両手に抱えたまま、八の字の眉毛で彼を見て話した。潮海はチラッと寺島を見つつも「ふん!」と言ってシカトした。そこに水無月がコーヒーを運んできた。
「潮海カチョー! 淹れたてのコーヒーをお持ちしました~! テヘへッ☆」
「水無月君わざわざすまんね! 彼はコーヒーもマトモに淹れられなくて本当、困ったもんだよ」
「や~だ~! 寺島パイセン、お茶汲みセンス無さ過ぎじゃないですか? 潮海カチョーのことはこのボクに任せて、デスクワークにリターンおねです☆ ってか、目障り☆」
「コラコラ、みなっち! そんな事言ったら寺島が傷つくだろ?」
「え~? そーですか?? やだ~寺島パイセンメンゴで~す☆」
水無月はテヘッと笑うと、自分の頭をポンと叩いて小悪魔風に舌を出して笑って謝った。
「あ~! そー言えば潮海カチョー! そろそろ会議の時間ですよ~! 一緒に行きましょー!」
「もうそんな時間か。よし、会議にでも行くか!」
「おけまるでーす! じゃあ、レッツゴー!」
「コラコラ、キミ。私の腕をそんなに引っ張るもんじゃない。ああ、そうだ寺島。織田も会議に呼んで来い。あとお前もな!」
「はっ、はい……!」
俺はそそくさとその場を離れると、寺島に業務言葉で話すと、チベットスナギツネの目で冷たくあしらった。アイツは眉毛を八の字にしながら、悲しげな顔をしていたが気にも止めなかった。部屋から出ると水無月と一緒に会議へと向かった。
ふん、誰があんな奴を構うもんか。すでに直腸も汚れきった受け子なんか、誰が相手にするか。誰が、誰が――。
その瞬間アイツの悲しげな顔が目に浮かんだ。
「あれ~? どうしたんですが潮海カチョー? ボーッとしちゃって??」
「あ、いや。すまん……! 部屋に忘れ物した。取りに行ってくる。キミは先に会議室に行きたまえ!」
「アン、潮海カチョーったら~!!」
水無月が掴んでいた腕を振り払うと、そのまま部屋に戻った。バンと扉を開けると部屋には寺島が涙を拭いていた。
「ッ…――!?」
「あっ、潮海課長……」
一瞬アイツと目が合うと直ぐに目を反らして、何食わぬ顔で部屋に入った。そして、テーブルの上に置いてあった寺島が淹れたコーヒーカップを掴むとグイッと一気に飲み干した。
「…うまかった。」
去り際にアイツに一言、声をかけると部屋からそそくさと出て行った。そして、そのまま会議室に向かった――。
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