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16歳 いいやつ!
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「理久、高岡ってどう?」
「へ?何が?」
ドライヤーのゴォーっという音に掻き消されて聞き取りずらそうに理久が向き直る。
入学から馬の合うクラスメイトの柳井 壮介(ヤナイ ソウスケ)は誠実に睨まれる様な感覚に慣れないと肩を落とす。
誰ともうまくやっていける自信が有ったから余計にだ。
性格は理久とそっくりで『なるようになるさ』という明るいもので、いつもクラスの中心に居た。
「高岡、俺のこと嫌いなんかな。」
実際は嫌いではない。
ではないが、理久への感情を意識し始めてから理久の周囲にいる人間が憎い。のだ。
それが最近は更に冷たさに磨きが掛かったように見えた。
嫉妬心からであることは誠実自身解っている。
解っていてもどうにも出来ないのが恋心で。
「全然笑ったところ見たことねぇし。」
「え…そう?笑ってるじゃん。」
その答えに反応したのは壮介だけではなかった。
大浴場の洗面台に居た人間の半数が振り返る。
「いやいやー…誰も笑顔なんて見たことねぇぞ。」
「そう…かなぁ?」
自分にとっては無条件に優しい誠実だが、確かに学友と笑い合っている姿を見てはいない。
「話し掛けてみたら?誠実、いっつも優しいけど。」
「えっ…あーーー…うーん…。」
皆のあやふやな答えに理久はにっこり笑う。
「大丈夫、誠実は超いいやつ!」
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