アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
16歳 どうしよう
-
「…すっかり馴染んだな、お前らの関係。」
選択の体育の授業で壮介が苦笑交じりに言った。
もうクラスで誠実が理久を膝に乗せていても誰も咎めない。
「上手く行ってるようで良かったじゃん。」
「…う、うん…。」
言い淀む理久に壮介は不在の誠実に不満があるのか問う。
「…どうかした?」
「ううん、何でもない!!」
壮介は割と常識人で空気を読む。
理久がこう言う時は大抵何か有るのだが、話せと強要もしないし、ただ見守ってくれる。
「…そっか、何かあったらいつでも相談しろな。」
「…うん、ありがとう…。」
理久は壮介の優しいところが大好きだった。
「…どうしよ…かな。」
小さな溜息の理由は『夏休み』だ。
喜ばしいはずの夏休み、だが行き先がない。
父はまだ海外だし、新婚の叔母に家に行くのも気が引けた。
自然と寮に居ることにはなるのだが、それを誠実が聞いて理久1人にする筈はない。
優しい誠実は恐らく理久に合わせて一緒に寮で過ごすと言ってくれるだろう。
嬉しいが、それは誠実の家族に悪い。
(なんて嘘つこう…。)
大好きな恋人に嘘をつく罪悪感は大きいが、それでもゴールデンウイークにも帰っていない誠実に帰省して欲しかった。
(やっぱり『叔母ちゃん家に行く』って言うのが、いいかな。)
誠実に嘘がバレませんように、と願いつつ理久は上の空のまま授業をやり過ごした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
39 / 563