アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
16歳 父
-
「…小動物みたいだな。」
起こさないように脚で客間の障子を開けると片膝を着く。
布団を片手で引っ張って何とか敷布団を用意すると理久が首にぎゅっとしがみつく。
「…ん、せぇじ……。」
そしてうっすら開けた唇で「好き…。」と呟いた。
そっと理久の腕を外して布団に寝かせると、廊下の灯りに影が伸びた。
「…父さん、運んでくれたんだって。ありがとう。」
部屋の中に髪を拭きながら入ってくると誠実が眠る理久のおでこをそっと撫でた。
「…母さんから聞いた…お前たちは。」
「…今回言うつもりだった。」
手を握ったまま寝こけた理久を愛おしそうに見つめる誠実。
「俺、嫁は一生連れて来ないから。来年も再来年も、その先も理久としかここに帰ってくるつもりない。」
誠実は躊躇う事もなくきっぱり言い捨てる。
「………もし…認められなければ…?」
「…許されないなら、帰らないだけだ。もう大事なものは決まった。」
「…そうか。」
流れる空気は重く、それっきり父が口を噤む。
誠実が理久にブランケットを掛けてやろうと立ち上がると、同じように父も思い腰を上げた。
「…誠実。」
「………何?」
「お休み。」
理久との事を認めもせず、否定もせず、父は部屋を後にする。
(…早まったかな。でも、理久の事隠そうと思わない。)
隠しても無駄だ。
いつかキチンと理久と一緒になりたい。
そう思っている以上、家族にはその気持ちは伝えておかなくてはならなかった。
「…んぅ…誠実ぃ…。」
撫でる手の温もりに理久が無意識にもっとと頭を擦りつける。
(守ろう…反対されても。理久は、手離さない。)
固く誓いながら、誠実は身体を理久の隣に横たえて自分に抱き寄せた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
61 / 563