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16歳 虚無感
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意外にも理久はすぐ見つかった。
壮介と一緒にトボトボと教室に戻ってくる姿を見て誠実は声を掛ける。
「…壮介、連れ戻してくれてありがとう。理久、ちょっと来い。」
「………。」
誠実のいつもと違う厳しい表情に理久は動揺を隠せず身体を引きつらせる。
頬を触ろうと伸ばされた誠実の指にビクンと強張った反応をする。
「…理久、俺たちは俺たちのペースでいい。それに、セックスならしてるだろ。」
「………全部じゃない。」
「全部でなくたってセックスに変わりない。焦らなくてもずっと一緒だろう?」
「…っ。」
理久は言葉を噛み殺した。
誠実の言うことが理解出来ない訳ではない。
でも確証が欲しかった。
身体を繋げて、誠実が全て自分のものだと言いたかった。
誠実が初めてではないのはわかっている。
あの身体を知っている人間がいて、なのに自分が知らないという嫉妬に駆られた。
誠実との距離は近くて遠い。
宥めるように背を抱かれ教室に入ると、先程までからかってきた級友が手を合わせて謝罪してきた。
俺もごめん。そう呟くが言葉に心が籠らない。
どうしたらいいのかわからず、授業中もただただ空を見つめた。
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