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16歳 ケーキ
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赤く色付いた指をマグカップで暖める。
「んーーーあったかぁい。」
ポカポカとした店内でのんびりとカフェオレを啜る。
一緒に頼んだケーキが来る頃には飲みきってしまってもういっぱい追加オーダーする。
誠実は自分の頼んだフルーツタルトの大きいイチゴを理久のチョコレートケーキの上にちょこんと飾ってくれた。
「あ…イチゴぉ…。」
「好きだろう?食べていいよ。」
それでも勿体無くて最後まで残していると誠実が気づいてふふっと笑った。
「ほら、口開けて。」
半分にカットされたイチゴを誠実がフォークに刺して口元に運んでくれる。
「…誠実の分なくなっちゃうもん。」
「いいよ。俺は理久の顔見ててお腹いっぱい。」
ほら。と誠実がフォークを近づけると果実のいい匂いがした。
誘われるように口を開けると甘酸っぱいイチゴの味が口いっぱいに広がる。
「はぁ…幸せ…。」
モグモグと口を動かすと誠実が穏やかに微笑む。
恥ずかしくて横に顔を逸らすと奥のテーブルで同じように幸せそうにケーキを食べる夫婦が目に入った。
奥さんの大きなお腹に手を当てて、愛おしそうに語りかけている。
「…幸せそう。」
「うん、そうだね。」
「誠実は、いいの…?俺と付き合っていたらあんな将来はないんだよ?」
「…まだ、俺の気持ちわからない?」
長い手を伸ばして理久の頬に触れる。
その手の温もりに頬を摺り寄せると誠実が呟いた。
「やっぱり、今日の理久はちょっと変。いつもなら怒るだろ?」
「…だって…、嬉しいんだもん。」
だめ?と視線を投げかける。
ちょっと顔が傾いたくらいなのに上目遣いのように見えて堪らずに誠実はゴクンと息を呑んだ。
「…誠実、この後は俺の…行きたいところに行っていい…?」
「いいよ。」
どうしてそんなこと聞くの?と誠実が首を傾げる。
理久は小さく笑っただけで答えなかった。
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