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雨の中立っていたのは No.1
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【お詫び】
最近放置してしまい申し訳ありませんでした。これからまたすこしずつ投稿していこうとおもいます。
それでは、どうぞ。
■ □ ■ □
じめじめとした空気の中、傘に響く雨音。
休日の今日、部活も引退したせいでする事が何もなかった。いや、勉強をしろと言われればそれまでなのだが……ともかく、雨だと言うのに無性に動きたくなってしまいこうして散歩をしているのだが。
「なーんか、雨強くなってきたなぁー」
外に出た事を後悔しつつ強まる雨足にため息を溢した。
「……及川」
直後。背後からの自分の名を呼ぶ声にバッと振り返る。
「…ああ、やはり及川か。何をしている。」
あっけらかんといってのける相手は、驚く俺に不思議そうに問いかけた。しかし、それより目につくのは、相手の状態だ。
「いやこっちの台詞だウシワカ野郎!! この雨の中傘もささずに何してんだよ!?」
同じく烏野に敗れ引退したはずのウシワカは、何故か白鳥沢排球部の指定ジャージに身を包んだまま思い切り雨に打たれていた。
「ランニングをしていた。……ああ、ジャージの事ならこれが動きやすいから着ているまでだ」
「バカだろ!? いや別にジャージはいいんだよ!! 気になってはいたけど!!」
毎度の事ながら調子を狂わされる相手にため息をつき、その腕を掴んで歩き出す。
「? なんだ」
「なんだじゃないよ! 風邪引く!!」
ウシワカは俺の言葉に、ああ、と納得した様に頷くと、一言付け足したした。
「気を遣ってくれるのか」
「うるさい!!」
「?」
そのあともわざとじゃないか思う程俺を惑わせ、なんとか家に辿り着く。
「……んあ? うわ、最悪誰もいない。」
靴はなくなっていて、人の気配はなにもない。ウシワカに『ここで待ってろ』と告げてタオルを持ってきた。
「すまない」
「いいから早く拭きなよ。」
ばつの悪い表情でウシワカの体を見ると、全体的にぐっしょりと濡れている。想像できてはいたもののしっかり見ていなかったせいか、改めて見ると『牛島若利が風邪をひく』と思ってしまう。
「? 及川、どうかしたのか。」
声を掛けられ我に帰ると、目の前に牛若の顔。
「な、何でもない! いいからさっさと拭け濡れる!!」
「ああ、すまない」
◇ ◆ ◇
「……はぁ……」
ぐったりと机に突っ伏して、ゴウゴウと回る洗濯機の音を聞く。
なんでこんなことに。そんな考えを取り払おうと、近場に放り出していた数学の問題集を開いた。
規則正しく鳴る時計にに心地よさを感じながら、いくつか問題を解いたとき、高い音が脱衣所から響く。乾燥機にかけようと立ち上がり、脱衣所へ向かった。
『いいと言うまで入っていろ』そう告げたお陰で出てくる様子のない牛島が居る風呂場へ一度視線を向ける。
シャワー音等が止まっている事からもう湯船に浸かっているのだろうと考え、また視線を戻す。
すると、扉の向こうから籠った声が聞こえた。
「……及川? そこに居るのか?」
何でわかるんだ。野生の勘か何かか。
そんな突っ込みを心の中で入れながら、ぶっきらぼうに返事をする。
「いや、人の気配がしたからな。」
「あっそ。もう暫くしないと乾燥できないから黙って待ってなよ。」
ふんだんに嫌味を含んで言った言葉にウシワカはどう出るのだろうか。落ち込んでしまえば良いのに。
「そうか。すまない。……及川が嫁いだ先は良いだろうな。」
「はぁっ!?」
予想外にも程がある。なんだこいつは。俺をどうしたいんだ。ばかか。馬鹿だろ。
ぐるぐると回る罵倒を口に出すことができず一瞬の間を開けて、反論に移る。
「馬鹿じゃないの!? 俺男だし!!どっちかっていうと嫁がれる側だし!! それとも及川さんに嫁いで欲しいの!? バーカバーカ!!」
なぜこんな言葉を口に出したのか、俺はそう後悔することとなる。
「……ああ、いいかもしれないな」
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