アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
決勝戦(雛)
-
「他の3人の試合は終わったみたいだね…」
辺りが静かになったのが気になったのか、櫂が呟いた。雛もならい見回して見ると試合を終えた3人がフィールドの外でぐったりとしていた。
「そのようじゃの〜」
「じゃー俺らも終わらせないとね」
ニッコリと微笑まれる。ファンが見たら歓喜するこの笑顔が雛には寒気しか感じない。
やがて櫂は、右手の剣を握り直し雛に切りかかってきた。雛は空中で半回転し剣に右手をついて櫂の後ろをとった。そして、尻尾を掴もうと試みたが櫂の回し蹴りをもろに受け後ろに吹っ飛ばされた。地面に擦りざざざっと言う音を立てながら5メートル離れたところで止まった。
倒れている雛に容赦無く閃光が飛んでくる。それに気づいた雛は体を回転させながら交わしその反動で起き上がり走り出した。雛の後を追うように閃光が飛んでくる。
「危ない!!」
誰かの叫び声が聞こえ、振り向くともう逃げ切ったと思っていた一般人の子供がフィールド内にいた。子供は、足が痛いのかしゃがみこんでおりお母さんを求めて泣いている。そこに閃光が近づいていく。
このままでは、櫂の閃光が当たってしまう。雛は、女の子の元へ全速力で走り寄ると当たりそうな閃光をギリギリ消し去り女の子を抱え上げた。
「あっ靴が!」
雛が抱えた反動で靴が落ちてしまったのか、女の子が手を伸ばす。それに気を取られた雛は、一瞬体を止めてしまった…
「ぐぬっ…!!」
雛に閃光が当たってしまい女の子を抱えたまま吹っ飛ばされた。痛む体を起こし、女の子に怪我がないか確認する。
「無事のようじゃな…。ここは、危ないから離れるのじゃ」
「っ…ひっく…ごめんなさい…ごめんなさい…ひっくひっく…」
女の子は、雛のことを見て泣き出す。
「泣くでない…怖い思いをさせてすまなかったの…」
「違う…違うの…だって…お兄ちゃんの…う…でがっ!」
先程、櫂の閃光をもろに受けた事で雛の左腕が吹っ飛んでいた。それを見て女の子は、ごめんなさいと何度もつぶやく。
女の子が自分じゃ動きそうにない事を判断すると頭をひとなでし、できるだけ女の子から離れるように動き出した。
苦痛で汗が吹き出てくる。
「雛っ!雛っ!…やめて!離して!!あいつ、許さない!」
結菜が雛の元へ寄ろうとしているが、紅蓮と真人に抑え込まれている。
「はぁ…はぁ…紅蓮と真人よ…そのまま、結菜を掴んでおれよ…。もーわしも限界のようじゃ…」
雛の腕を吹き飛ばしたと言うのにまだニコニコし、ゆっくりと雛へ歩み寄ってくる。
「あーあ、あんな子ほっとけばいいのに」
「うるさい!お主わざとあの子に当たるようにしたじゃろ!!」
「くすくす…そーだよ?折角、雛と戦ってるのに…目障りなんだもん」
「まだ幼い子を殺そうとするなんて…」
「何言ってんの?この世界は、弱肉強食。弱い奴はさっさと死ねばいい。恨むなら弱い自分を恨めばいい。俺は一般人だからって、子供だからって容赦しない」
さっきまでニコニコしていたのに、今は一変し怖い顔をしている。
「ってか説教するなら、次は右腕吹っ飛ばすよ?」
「っ…説教など…はぁ…はぁ…する力も…もう残ってないわい…ぐっ…うぅ…あぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
いきなり叫びだした雛の左腕から、恐ろしい量の力が溢れ出す。能力者にしか感じない力だが、50メートル離れている結菜達の肌にビリビリとした感覚がくる。
雛の力にやられた能力者達がバタバタと次から次へ倒れていく。皆気を失ったようだ。結菜達も酷い頭痛とめまいに襲われ記憶を手放した…
1番近くにいた櫂も抗えずその場に倒れ込んでしまったのであった…
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
75 / 269