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垣間見た夢に流れる涙
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朔間先輩が 俺の中から出て行った瞬間 妙に不安になった
さっきまで確かに感じていた温もりが急に無くなって
正直 寂しくて仕方なかった
「…せんぱい⁇」
朔間先輩は両手で顔を覆っていてその表情は見えなかった
少し戸惑いながらも 朔間先輩の腕に自分の手を近付けた
が その手は払い除けられて 宙を舞い
嫌な汗が 俺の背中を伝って落ちていく
「…お前…さっさと帰れ」
「…え⁇」
「…もう用は済んだし…出てけよ」
俺に背中を向けてそう発する先輩は
つい数分前とは別人の様に感じた
そんなの信じたくなくて 痛む体を何とか起こすと
勢いに任せて先輩に抱き付いた
「⁉︎ 離せクソガキ‼︎ さっさと帰れっつてんだろ⁉︎
ウゼェんだよ‼︎」
「…さ 朔間…せん…ぱ…」
「…調子に乗ってんじゃねぇよ…青臭ぇガキが…
早く出てけ‼︎」
俺の方をチラリとも見てくれず 体を引き剥がされ
スゴイ力で棺桶から放り投げられた
制服やパンツも乱暴に投げ付けられ
ベルトの金具が顔に当たって じんじんと痛んだ
「…う…く…」
何とかそれらを履くと
近くにあった鞄を抱えながら部室を出た
ドアを閉める時に もう一度だけ振り返ったが
朔間先輩の顔は やはり拝めなかった
そこからどうやって帰ったのかは覚えていない
下半身が異常に痛かったのとパンツの中がぐちゃぐちゃで
スゲェ気持ち悪かった事だけは よく覚えている
家に着くと速攻で風呂場に向かいシャワーを頭から浴びた
鏡に映った自分は 酷い顔をしている
そりゃあさ 朔間先輩は 違う奴抱こうとしてたわけだし⁇
俺の事いつも鬱陶しがってるし
只の気紛れだったのかもしれない
でもさ だったらさ…
『…晃牙…晃牙』
あんな声で 名前なんて呼んで欲しく無かった
手なんて握らないで欲しかった
頭なんて撫でたりしないで欲しかった
一瞬でも 先輩もひょっとして俺の事…
なんて 一人で盛り上がって 馬鹿みたいだ
「…ははっ」
空笑いが自然と口から零れた
こんな事されて あんな事言われて
それでも好きだなんて思う俺は
本当に救いようの無い大馬鹿野郎だって
自分で自分を 笑ってしまったんだ
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