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お父さんとお母さん
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僕が記憶しているのは
燃えさかる僕の家と、
お母さんの叫び。
あの日、先生が僕を迎えに来てくれて、
僕は木箱に身を隠し、あの家から逃げ出した。
フランス革命により、
貴族はその特権を剥奪され、
その殆どが民衆によって捕らえられ、
勝利の宴と称した場で公開処刑されていった。
しかし、僕達の様に
身分を偽り、民主に紛れて生き延びようとする者も少なくはなかった。
だけど、僕ら貴族は民衆によって、身分を見破かれ、
命乞いをしようと外に出たお父さんは
銃弾に倒れた。
それから間もなく家に火が放たれ、
僕は怒声が近づく中、
お母さんに木箱に押し込まれた。
真っ暗な小さな箱の中で、
「お母さん!お母さん!」と泣いて叫んだ。
「いい?アセナ。あなたは、高貴な貴族の息子です。この血を……この血をこんなところで絶やしてはいけません。わかりましたね?さぁ、私が盾になっている間に、お往きなさい。その者……後のことは頼みましたよ」
「はい、奥様」
地下から伸びる抜け穴に木箱ごと放り投げられて、
お母さんの叫び声が聞こえたけど
もう、その後の事は覚えていない。
気が付いたときには、
真っ白な部屋のベッドに寝かされていた。
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