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Ⅰ ~ 思い出はいつも君の隣で
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佑と拓馬の中高生時代の話。
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『なぁ佑、お前高校どうすんの?』
『んー…普通に普通科に進んで進学する、かな』
『じゃあ上手くいけばまた一緒だな!よろしくなっ』
あの頃はまだ茶髪で幼かった拓馬は、俺の隣でそう言って、ニッと明るい笑顔で笑った。
中学入学直前に俺が“あの事件”に巻き込まれてからもずっと傍に居てくれたこいつには、言葉じゃ言わないけど本当に感謝してた。
『結局拓馬と一緒かー』
『何だよ嬉しいくせに!』
『嬉しくねーよ、馬鹿っ』
そんな会話をしたのはつい最近のことのように感じる。
結局学科もクラスさえもずっと同じだった俺達は、3年間また離れる事なく一緒に過ごした。
俺は特に彼女も作らず勉強と弓道に明け暮れ、拓馬は県選抜に選ばれる程サッカーに打ち込んだ3年間だった。
気付けば俺の学校生活の思い出は、いつも拓馬が隣に居たような気がする。
いつの間にか言葉で言わなくても大体の事は伝わるようになってて、お前ら何なの、ってよく笑われていた。
そして、センター試験と二次試験を終え晴れて大学生となった俺達は、今一緒に大学の門の前に立っている。
「ここまで来たら腐れ縁だよな…」
「そうだな!っていうかお互いの家まで徒歩5分の距離ってのも近すぎでしょ!」
「学科も一緒だし?」
「おう!取り敢えずはあと4年、よろしくなっ!」
俺の隣にはいつも変わらない笑顔があって、大学でもそれが変わらない事を安心してる……なんて、絶対調子に乗るから口が裂けても今は言わない。
「…ありがと」
「ん、何か言った?」
「何も?…でもさ、」
また一緒なら4年間楽しく過ごせそうだな。
俺がそう言うと、どちらからともなく笑い合う。
「…入学式始まる。中に入ろう」
「おう!」
まだ、俺がこの手で君に触れる事は出来ないけど、いつかそれが出来るようになったら……本当に心からちゃんと感謝の言葉を伝えるから。
END.
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