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無関心
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保育園の園長先生にしては若い気がするけど、それよりもどうしてカイ君の家に来たのか、その方が気になる。ただの保育園の園長先生が、個人的に1人の園児の家に来るなんて、邪な考えでもなきゃありえない。
特にカイ君の事だから余計にそう思う。
「あの園長先生、いつも来るの?」
一応聞いて見たら、カイ君は「一昨日初めて。」と言い、仕事があったからその間にソラ君の面倒を見てもらったのだと言う。確かに風邪を引いていたらしいから、保育園に行けない間に見てもらうというのはない話ではないかも知れない。でも、それは身内や友人がというのであればの話で、ただの保育園の園長先生がする事ではない。そんな特定の子を贔屓するような事があってはならないだろうし、そんな事ばかりしていてもキリがないだろう。
聞いてみたらみたで、余計に怪しさが増しただけだった。
「あのさ、カイ君って昔からそういう…外見っていうのかな、自分のことに関して凄く無関心だなって思ってたんだけど、そのせいで自分のことが全然分かってないよね。」
「そんな事ない思うけど」
「あるの!こんなこと言うのもなんだけど、カイ君はさ、自分に向けられる拒絶の目には敏感だけど、そのせいでその中にある好意の目には気付いてないんだよね。こんな世の中だからカイ君がΩだからって始めから嫌悪を示す人もいるだろうけど、そういうことを気にしない人とか、Ωだからこそってカイ君を色目で見てる人だってたくさんいるんだよ。」
「色目って…」
「茶化さないで!とにかく僕はカイ君に関係ないって言われても口は出し続けるよ。あの園長先生がどんな人かは知らないけど、僕はカイ君に幸せになって欲しいから、谷原先生と元通りになって欲しいよ。ソラ君の為にもね。」
カイ君は何も言わずソラ君を見つめていた。きっと、僕なんかが言わなくても思うことはあるんだろうけど、このまま放っておいたらカイ君は絶対に谷原先生とは会わなくなる。
好きなのに、Ωだから幸せになれないなんて、そんなバカな話はないよ。
「あの園長先生、カイ君の事好きだったりするんじゃないの?」
「…どうだろう?家族になりたいとは言われたけど、これと言って話をした事もないし、好きになられる理由もないんだよね。」
ほら、やっぱり分かってないじゃん!
「家族になりたいなんて明らかでしょ!世の中には一目惚れって言葉があるの!接点なんかなくても好きになる事だってあるの!カイ君は自分の外見にもっと関心を持ってよ!」
カイ君は自分がどれだけ綺麗な顔をしてるのか、絶対分かってない!
そして、周りがそのせいでどれだけ心配しているかも分かってない!
多分、カイ君に恋をした谷原先生はもっと心配だったんじゃないかな。
そう思うと、谷原先生がすごく不憫だった。
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