アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
優しさの中に
-
どうして急に動物園?わざわざ家に来てまでそれを…?
俺はただ首を傾げるしかないが、兎にも角にも金曜日までに返事が欲しいと言われて即決するにも申し訳ないので了承するだけ了承する。
「じゃあまた明日」
桜庭さんが手を上げる。俺もつられて手を上げようとしたら、その手をガッと掴まれた。
「えっ…ん!」
引き寄せられてちょっとぶつかるように口を塞がれる。びっくりして、一瞬抵抗する事を忘れた。腰に手を回されてグッと力が入れられて、ようやく離れなきゃ!と頭が追いついた。
すぐそこに渓史さんがいるのに!
無理矢理割り込んでくる舌が、俺の舌を絡め取って濡れた音を出す。こんな小さな音が渓史さんに届くのか。届かなかったとしても、やめてほしい。
どうしてこの人はいつもこんな強引なのか。
桜庭さんの胸に手をついてかなりの力で押し返してるのに、この体格差では勝敗はやる前から明らかだ。
お願いだからもうやめて…
顔を背けて荒い息を逃す。けど、それを許さない桜庭さんが俺を壁に押し付けて体で押さえ込み両手で顔を固定させて来た。
数センチの距離に桜庭さんの顔がある。
そしてあの…αの目。
ゾクッと背中に走るものは俺のΩの本能だろうけど、俺はそれに従うつもりはない。発情期でもない今は、それに抵抗する事は困難じゃない。
「僕、本気だよ。本気で君が好きだ。誰にも譲りたくない。」
αの目が揺れている。
凄く凄く小さな声でそう囁いた桜庭さんは、
今度は優しく、キスをした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
91 / 201