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仇敵登場
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「なんだなんだなんだ?騒がしいと思って戻ってきてみりゃ、見たくねえ面が並んでるじゃねぇか!」
荒っぽい口調と言動に、思わずシュウは目を閉じた。彼の苦手な人種である。
「何を怯えてるんだ。知らない仲でもないだろ?」
「でっでも俺あいつ苦手だ。というか怖い」
「はっビビりが」
「無視するな!つーか何しに来たんだてめぇら」
喧嘩腰で両脇に挟んだボールを弄ぶ男に、リョウはにこやかな笑みのまま話しかけた。
「久しぶりだなヒナト。元気にしていたか?」
「こっちは会いたくもなかったけどな。お前はいつも通り元気そうだな。とても残念だ」
「ははは。またそうやってツンツンして。流行のツンデレか」
「誰がいつお前にデレたよ!」
顔を赤くして怒鳴るヒナトの手にあるボールがすごい形に歪んだ。怒っていらっしゃるらしい。
ヒナトと呼ばれた男子は、リョウの幼馴染で昔からの古い仲だ。
大雑把ですぐ真っ赤になって怒りだすが、その分落ち着くのも早い。
リョウを通じて何度か話したことがあるが、何を口にした時点で怒り狂うか分ったものではないので、思ったことをすぐ口にするシュウはいつも怒られていた。
そのたびにハルトが険しい顔で反論するので、彼とヒナトの相性はすこぶる悪い。水と油状態だ。
すぐ沸騰するヒナトは、ぎろりとハルトをみる。
ハルトも珍しく嫌悪感を露わにした目つきでヒナトを睨んでいた。
「よう嫌味野郎。何睨んでんだ。喧嘩売ってんのかああ?」
「あいにくお前に売るものは何もない」
「はーハルトかっけぇ!」
後方で成り行きを見守っていたサガラが、感心したような溜息を零した。
突然話の流れに入ってきた小柄なサガラにじろりと目を移す。
「あ?なんだサガラかよ。相変わらず隣の番犬つれてんのか。飽きねえな」
「なっなんだよ。ユツキを馬鹿にすんじゃねーぞこら!」
「サガラを、馬鹿にするなら、許さない」
一瞬で二人の反感を買ったヒナトは、はっと馬鹿にした笑いをもらし再びハルトに指を突き付けた。
「せっかくこの1カ月、てめぇの淡白な面ぁ拝まなくてよかったってのに、最悪な一日だな今日はよぉ!」
「こっちのセリフだ。野蛮人は短気だから嫌いなんだよ」
「誰が野蛮人だ!冷徹仮面が!いい加減にしねぇと殴るぞおら!」
「両方とも落ち着け。収拾がつかないだろ」
悪口の応酬に耐えかねたリョウが苦笑交じりに口をはさむ。
ヒナトは突っかかってきたが、すぐ冷静に戻ったハルトを比べると、彼らの性格が全くのま逆だと理解できるだろう。
「じゃれあいはそこまでにして。ヒナト、コートを貸してくれないか?」
「あー?話し合いもなしでアポもねえ。しかもそいつらは気に食わねえ連中どもの集まり。そんな悪条件が揃った奴らに無条件で半分明け渡せ?喧嘩売ってんのかおい」
「器の小さい男だ。普通ならすんなり貸してくれるだろうが。ケチはこれだから」
「そんな態度で譲るとでも思ってんのか!」
「ハルト少し黙っててくれないか。話が進まない」
やや疲れぎみになったリョウはハルトを手で制した。
ハルトは不満ぎみに黙りこむ。
「なぁヒナト。ハルトの無礼は謝るから貸してくれ」
「てめぇが謝っても何の意味もねぇ。それにこういうことについては、事前に話しておくべきじゃねぇか」
「それについても謝る。だが」
「あーもうめんどくせぇなぁ!」
突然、ヒナトがひび割れた声をあげた。
びくりとシュウやその他見守ってた生徒達の肩が跳ねる。
不機嫌に染まってたヒナトのオーラが、赤く不適に膨れ上がったように思える。赤い闘気にリョウまでも少し怯んだ。
「ヒナト?」
「しゃらくせぇことは、なしにしようぜリョウ。使わせてやってもいいが条件がある」
目付きが鋭くなり、鋭利な刃物をイメージさせる八重歯をつきだした。
「俺らに勝てなかったら、てめぇら女装しろ」
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