アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
悪夢のSummerVacation
-
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だー!」
みっともなく暴れるシュウの机の上には、試験の結果が書かれた紙が置かれていた。見事に赤文字ばかりで、それは彼の夏休みが半分以上勉学によって潰されることを示唆している。
ハルトの呆れた眼差しが泣き喚くシュウを貫いた。
「だから言っただろう。ちゃんとやらないからだ」
「ハルトが助けてくれなかったからじゃんか!」
恨みがましげに睨まれ、ハルトの端正な顔が歪んだ。
「ばか言うな。俺は何度もチャンスをくれてやっただろ。それを有効に使えなかったお前が悪い」
まともな正論を跳ね返され、シュウは潤った目でぐっと押し黙る。
彼自身も八つ当たりだと自覚している。何かのせいにしないと絶望と罪悪感に押しつぶされそうになっていた。
「はっそういえばサガラは!?」
いつも自分とどっこいどっこいの友を思い出し、希望に満ちた。だがサガラは堂々と自分の通知表を突き付ける。
「なんと赤点ゼロだぜ!いやーあのあとユツキと徹夜しなかったら危なかったかな!」
「うっうわあああ!」
唯一の希望が壊され、ついにシュウは机に顔を押し付けた。
打ちひしがれるシュウの背中を、リョウは困り顔でさすってやった。
「だっ大丈夫だシュウ!補習は長いといっても2週間ぐらいで…」
「どうせリョウも点数よかったんだろ!学級委員長だしな!」
「ん?ああやっと10位以内に入れたよははっ!」
「聞くんじゃなかった!」
馬鹿正直に答えたリョウの一言により、更にシュウの目元に滴が浮かんでいく。
「くらえっ!」
「いたっ!なんで叩くんだ!」
リョウは何故シュウが自分を叩いてくるのか分からず、ハルトに目をやった。視線でどうにかしてくれとSOSを出すリョウに、ハルトは渋々頷いてやる。
「おい赤点馬鹿」
「傷口に砂糖を塗る真似をするな!」
「塩だ馬鹿。俺も補習を受けるから、一人ではない」
「え?」
想像できなかった一言に、シュウは顔をあげる。そこには苦々しいながらも微笑を浮かべているハルトがいた。
「正気かよハルト!お前、今回も一位だったんだろ?」
「ああそうだ。どうせ夏休みなんてすることもない。なら学校に通って補習でも受けていたほうがよほど良いだろ?」
優等生発言を真顔でするハルトに、リョウは恐れ入ったと言わんばかりに肩を強くたたいた。
「やっぱり学年一の秀才は違うな!頑張れよ!」
「痛い」
しかめっ面でリョウを追い払うハルトは、シュウの方を見て口を開いた。
「まあ教室は違うが、行きと帰りぐらいなら付き合ってやる」
「はっハルトー!ごめん!今までお前のこと悪魔とか思ってて!」
優しい幼馴染に号泣するシュウに抱きつかれて、ハルトが暑苦しそうにしているが気にしない。
「一緒に頑張ろうなハルト!」
「お前は俺の3倍頑張れ」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
45 / 106