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仇敵再び
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夏休みが始まった。
夏休みとは学生の長期パラダイスである。暑い夏の中、思い思いの時を過ごせる。
いつまで寝ていても遅刻はないし、いくらゲームしても怒る先生は誰もいない。まさに極楽。
そんな夏休み初日に早起きしてまでハルトとシュウが制服姿で向かっているのはどこか。もちろん、学校だ。
駄々をこねるシュウを無理やり殴り起こし、引きずっているハルトの額には早朝だというのに汗が浮いていた。
「うー暑い…やる気でなーい」
「自分の足で歩け。そろそろ俺も疲れてきた」
「なんで初日から補習なんてあるんだよーふざけんな」
「仕方ないだろ。それもこれもお前が勉強をさぼったからだ」
いくら言っても勉強しないシュウに呆れを通り越して怒りを覚えたハルトは、文字通り彼を見捨てた。
だが一人さみしく補習に通うシュウを見るのが可哀そうだったので、仕方なく彼もシュウの補習に付き合っているのだ。
「それじゃあお前はいつも通り教室に行けよ。俺は2Aだから」
「オッケー。帰りは同じだからー下駄箱で待ち合わせな」
隣り合った教室の前で別れを告げ、エアコンが効いた教室へ一歩踏みいる。
涼しげな風がシュウのほてりを冷やしてくれた。
「ふいー気持ちいい」
無意識のうちに自分の席に陣取り、補習の準備をする。
準備といってもペンケースを出すだけで終了した。さっそく暇を持て余したシュウ。
まだだれも来ておらず、エアコンの起動音だけ聞こえてくる。
「寂しい…ハルトの教室行ったら駄目かな?」
そう思い、いったん外に出てこっそり2Aを覗いてみる。
前の方にハルトの後ろ姿を見つけた。
だが周りには既に十人程度の生徒が集まって黙々と教科書をだしていた。
入りづらい空気に打ち負け、とぼとぼ一人ぼっちの教室に戻る。
「やっぱ真面目だな………嫌々来てる俺とは違うや」
勉強しなかったツケが帰ってきただけのシュウとは違う。
あっちのクラスでは高度な授業が行われ、自主的にその知識をスポンジのように吸収していく勉強家ばかりだ。
いまさらきちんとやっていればよかったと後悔した。
「とにかくだれか来てくれないかなー寂しすぎて死んじゃいそう」
大げさなことを呟くと、願いが届いたのかドアが開かれた。
ぱぁっと輝く笑顔で入ってきた人物をみると、びしりと固まってしまった。
入ってきた生徒も同様に驚愕しているらしく、シュウと同じ阿呆面をかましている。
「なっなんでお前がここに…」
「こっちのセリフだアホチビ。なんでてめぇがいやがる」
球技大会で熱い戦いを繰り広げた仇敵が、そこにいた。
ご丁寧にスクールバックを肩に下げて。
茫然と見つめあっていると、ヒナトの後ろから笠木がにょっこり現れて手短にあった頭を出席簿で叩いた。
「いてっ!」
「入り口前で邪魔ですよ。矢垣柊君と桜木雛人君。いますね。さっそく授業始めますよ」
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