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優しい風景は幻で
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そしてやってきた勉強会当日。
ハルトは最悪の目覚めを味わっていた。
シュウと二人っきりの勉強会のはずが、余計な異物が入り込んでくると考えるだけでも吐き気がするのに、その当日ともなると素晴らしい気持ちで目を覚ませるわけもない。
なぜこうなった。
ベッドの上で数十秒固まってみるが、ここで寝転がっていても何も変わらない。
舌打ちをして、ハルトは上半身を起こした。
寝巻から私服に着替え、階段をゆっくり下りる。
居間へ続くドアノブを掴むが、引く腕に力が入らない。この扉を開くのを拒否している自身がいて、思わず苦笑いをこぼしそうになった。
意を決してドアを押す。
温かい朝食、優しい笑みを浮かべた家族。おいしそうな湯気をあげるコーヒー。
そんな幸せ風景はもろく崩れ去り、閑散としたリビングが広がっていた。
「…ふん」
期待はしていなかった。
ハルトは食パンを取り出して、静かさに満ちた部屋で食事を取り始めた。
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