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彼氏
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「悠斗………………俺、本気だから…………」
人気のない、住宅街。
街灯が点々と辺りを照らし出す道筋で、涼の緊張した声だけが、悠斗の心を埋める。
どうしよう。
こんなに嬉しそうな涼、初めて見る。
悠斗は、隣を歩く涼へ僅かに目を向け、小さな溜め息を漏らす。
自分には、涼は勿体ない。
顔が良く、サッカーが上手く、優しい。
自分じゃなくても、涼が沢山告白されている事は、知っている。
「…………………………俺なんか、止めとけよ」
あ………………………。
心の中で呟いたつもりが、思わず口から出てしまった。
俺の馬鹿!…………………いきなり拒否ってどうする!
慌てて隣を見る悠斗の目に飛び込む、涼の悲しそうな顔。
「なに………………悠斗は、俺の事………嫌だったの?」
「あ、いや…………………」
「そうだよな………………ちょっと強引だったよな………俺さ、隼斗さんに背中押されて、調子に乗ってたわ…………………ごめん」
あいつは、押してない……………!
そう言いたかったが、一気にへこむ涼を見ていると、隼斗の本性なんて言える筈もなく……………悠斗は、自分の落ち度を恨んだ。
「涼………………あの、違………」
「頭、冷やして来るよ。……………………悠斗の気持ち、一番大事にしなきゃいけなかったもんな。勝手に、悠斗と両想いになれるかもって思って、一人テンション上がってさぁ………………ダサダサだよなぁ」
頭をかき、苦笑いする涼に、キュンとした。
本当に、本気なんだ…………………。
しかも、隼斗に比べて、はるかに自分の事を考えてくれている。
涼と付き合えたら、きっと幸せだろう。
悠斗は、目の前で落ち込む涼の姿に、愛しさを覚える。
「悠斗、ここでいいよ。家、もうすぐだから。………………………悠斗こそ、帰り気を付けてな」
気を付けてな。
そんな言葉、隼斗から言われた事など一度もない。
「……………………涼………………」
何だろう。
凄く、離れたくなくなってきた。
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