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赤い糸
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それは、手繰り寄せても、見付かるものですか?
隼斗との一夜は、とても楽しかった。
ずっと側にいたい…………………そんな事を考えながらも、俺は隼斗のアパートを後にした。
家に帰ろうよ。
その一言が、どうしても言えないまま、『またね』のキスで、バイバイだ。
「……………………情けねぇ………………」
隼斗の大学の前を通り過ぎた時、俺はやっと声を出す。
隼斗に会いに来た時は、うだる暑さも忘れる程走れたものが、帰りは、寂しさと暑さと寂しさ(………あ、2回目)で、溶けて落ちてしまいそう。
離れたくないのに、今の隼斗の生活を崩す勇気がなかった。
バイトも、大学も、近い。
家にいるよりも、よっぽど便利だ。
その楽な生活を、直ぐにでも止めろよ………………なんて、言えるわけがない。
「俺って、結構小心者だな……………」
カフェで、隼斗を襲ったのが嘘みたい。
もし、帰ろうと言った時に、ちょっとでも嫌な顔されたら、滅茶苦茶傷付く。
俺は、自分のメンタルを取ったんだ。
「………………はぁ…………………今日も、広い家に一人かぁ……………」
隼斗に、会いたい。
別れて僅か、数分。
どうやら、俺のメンタルは、そこにも響くらしい。
「……………………兄弟で、恋人…………」
成り立つのかな?
考えてみなくとも、凄い展開である事は、間違いない。
男同士なだけでも、なかなかのハードルが?
きっと、上手くいく。
俺は、都合のいい事ばかり思い浮かべていた。
ジャリ………………………
「………………涼………………」
家の前に着いた時、俺は目の前の光景にドキッとさせられた。
それは、俺の家の門にもたれる、涼の姿。
「……………………悠斗………………」
話をしなくては…………………そう思っていたのに、いつになく真剣な涼の表情に、俺は口ごもる。
全部わかってる。
相変わらず格好いい涼の瞳は、それを語っている気がした。
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