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消えない痣
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俺の首には、涼に付けられた痣が残った。
『隼斗さんを本気で殺す』
感情が昂ったせいかもしれないが、あの涼にソレを言わせたのは、俺だ。
それから数日間、俺は誰とも連絡を取らなかった。
時間が欲しい。
隼斗と涼には、それだけ伝えた。
理由の知らない隼斗は、最初心配していたが、何も聞かずソッとしてくれた。
隼斗に、会いたい。
ミーン、ミーン……………………
庭の蝉が、俺を見下ろし、ほくそ笑む。
「………………………あぢ…………………」
休みがちになった学校も、期末テストだけ受け、俺は夏休みに入った。
庭に面した広縁から足を下ろし、俺は朝からギラつく太陽と我慢比べ。
それでも、このクソ暑い太陽を見上げてると、いまだに涙が溢れてくる。
体重も、五キロ減。
「……………………俺、死ぬかな………………」
いや、たかだか五キロ減で、人は死なない。
でもそれくらい、俺は何の結論も出せず、ドン底を過ごしてた。
人って、ホント弱っちー。
隼斗が好きで好きでたまらないのに、涼をこれ以上傷つけられない罪の意識に苛まれる。
「あー、頭がボーッとしてきた………………」
ここ数日、俺の脳は悩み過ぎのあまり、いよいよ限界にきたらしい。
「うお、あっちぃーっ!!」
は……………………?
門へと抜ける道から、何やら叫び声。
「悠斗っ……………ゲッ!お前、スゲー汗!死ぬぞっ」
オシャレな帽子を汗だくにし、イケメンゲ○登場。
「……………………慶太」
そう、何故かこいつだけは、来るなと言っても、来る。
クーラーボックスに、俺の唯一の生命線を繋ぐ源を携え、今日も律儀に現れた。
「ああ…………………俺、マジ死ぬか…………も……」
慶太の登場に、俺は何処か気が緩んだのか、一気に意識が揺らぎだす。
「え?は……お、おいっ!?悠斗………………っ!!」
あんなに煩い慶太の声が、やけに小さくなったと思ったら、その後の記憶はなくなった。
苦しい。
身体の痣は、思ったよりも深い。
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