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あ、そう言えば…………まだ先の事決めてなかったな。
『夏休み中に、必ず連絡しろよ!?』
夏休みに入る前、担任に叱られた事が、今頃過る。
俺って、何もかもが中途半端だよ。
「……………っと……………悠斗ぉっ!!!」
ああ………………頭が、ガンガン鳴り響く。
うるせぇ……………………誰だよ、オイ。
記憶が吹っ飛んでいた馬鹿は、目覚めてもやはり、態度の悪さは変わらない。
人に心配をさせていながら、俺は頭の中で悪態をつく。
「……………………冷た……………」
身体がやたらめったら、氷のよう。
ぼやっと目蓋を開くと、見慣れない天井とツンとくる薬の臭い。
そして……………………。
「慶…………………太……………」
目を潤ませた、慶太の青ざめた顔。
何…………………どう言う事?
「バ…………バカ野郎っ!!お前、熱中症でヤバかったんだぞっ!!」
熱中症…………………。
「あんな炎天下にずっといて、死にたいのかっ!」
なるほど………………俺、熱中症でぶっ倒れたんだ。
いまだボーッとする頭で慶太を見上げ、俺は何となく現状が読めて来た。
どうやらここは、病院。
いきなり倒れた俺を、慶太はどうやったのか別にして、病院に連れて来てくれたようだ。
そして今、点滴をされながら、全身を冷やされてる………………………て、事か。
「ごめん…………………慶太」
俺は重い身体を何とか動かし、空いた手で目を押さえた。
なんだか、目頭が熱くなる。
今にも涙を溢しそうな顔で、俺を叱ってくれる慶太の本気さに、めちゃくちゃ泣けてきた。
「……………………ごめん……っ………」
人って、一人じゃ生きていけないな……………。
「悠斗…………………っ」
気付いたら、俺は声を出して泣いていた。
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