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謎の関西人
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(*恋愛男子を読んで下さってる方にはわかる、登場人物と絡みアリです)
まさかの、慶太の前で号泣。
男子高生が病院で大泣きするもんだから、看護師さんや医者からは、何処かまだ調子悪いのかと心配され、慶太はその後ろでオロオロ。
どんだけ迷惑な野郎だ………………と、俺は自分の情けなさに、また泣けた。
とにかく、最低な夏休みをスタートさせたのだ。
「ここで、ちょっと待ってろよ?俺、色々事務処理してくるから………………どうせ、また後日保険証とか、持って来なきゃならないしな」
保険証………………。
そうか……………俺はぶっ倒れた側だから、当然だが、何も持っていないんだ。
「慶太…………………マジ、ごめん。お金はちゃんと払うから………………」
病院の広い待ち合いに座らされ、俺は見下ろす慶太に頭を下げた。
下げると、まだクラクラする。
慶太が来なかったら、本当に死んでたかもしれない。
「気にすんな。お前が助かって良かったよ」
何だよ、やけに慶太が頼もしい。
本気で怒られた時は、マジでグッときた。
「慶太………………あの、さ………は………隼斗には……」
バッグを持ち、中から財布を取り出す慶太を見上げ、俺は聞きづらい事を訊ねた。
こんな事、隼斗に心配させてしまう。
どうしよう。
そんな気持ちと、会えばもっと泣いてしまいそうで、辛い。
「え…………?ああ……………今、会うの止めてるんだろう?病院に着いて、直ぐ連絡しようかと思ったけど、先生が休んだら大丈夫だって言ったから、控えといた…………………ホントは、しなきゃいけない場面だけどな」
慶太はそう言うと、苦笑いをして俺の頭を撫でた。
申し訳ない。
俺のせいで、慶太にまで心身共に負担をかけた。
受付へ歩いて行く慶太を眺め、俺は自分の不甲斐なさにズンッと落ち込んだ。
「………………はぁ……………身体、しんど……………」
待ち合いの椅子にもたれ、視線を上げた先にあるデカい窓ガラスからは、茜色になりかけた空が望めた。
夕方…………………か。
半日位入院しただろうか………………医者からは、今日一日入院した方がいいとは言われたが、俺がどうしても帰りたいと言って、何とか帰宅を許された。
半日、慶太の時間も潰させてしまった。
「俺…………………一生、頭上がんないわ」
もうとにかく、俺は最悪な奴でしかない。
ドシ………………………
………………………?
「あー、もう……………ホンマ、病院は待ち時間が長くてかなわんっ」
関西人?
突然感じた椅子にくる振動に、俺はゆっくり隣へ目を向けた。
「大和の奴、どんだけかかんねん…………」
大和…………………誰かを待ってんのか。
繋がった待ち合いの椅子の、一人分空いた隣。
そこに腰をかけ、高そうな腕時計へ目をやりながら、何やらブツブツ言う、かなりなイケメン。
二十代後半位……………?
七分のグレーのTシャツに、濃紺のパンツを穿き、足元は白にブルーのラインが入ったスリッポン。
大人な色男って感じで、思わず見とれてしまった。
「…………………あ?なんや、兄ちゃん。俺の顔、何か付いてる?」
「えっ…………………や、いや………な、何も……」
うわ………………存在感ある人だな。
目を合わせると、益々その強い瞳に引き込まれそうになる。
弱った俺には、たまらなく………………辛い。
「やば………………横向くんじゃなかった……………オーラにヤられる………………………」
俺は、よくわからない関西人のパワーに、勝手に撃たれた気分に陥った。
「は!?…………………おい、兄ちゃん大丈夫か?」
謎の関西人には申し訳ないが、目眩がして、頭を押さえてうずくまってしまった。
熱中症、恐るべし。
関西人、恐るべし。
「兄ちゃん………………!?」
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