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友達
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近過ぎて、気付かない。
改めて、思う。
慶太って、律儀だな。
「これ、お粥の作りおき。タッパに入れてるから、熱が冷めたら冷凍庫に入れてな。あと、サラダも作っといた。暑いから、いきなり色々一度に食べる気にならないだろ?」
ハイ……………………。
「それと、こっちは病院の領収証。お金はいつでもいいから、無理して銀行とか行くなよ?また倒れても困るし………………あ、でも病院へ保険証持って行くの忘れちゃダメだからな」
ハイ……………………。
頭が、下がる。
慶太は俺の身の回りを整えて、帰り支度をしていた。
「慶太…………………お前、凄いね。こんなに世話してもらって、本当に申し訳ないよ。ありがとう」
俺は、今までこんなに心を込めた事がないくらい、頭を下げた。
2年間、数え切れない程、ご飯を運んで貰っておきながら、大した礼もしていなかった。
「………………………何言ってんの。友達だろ?困った時は、力になるに決まってる」
慶太は俺の頭を撫でながら、初めて耳にする言葉を発した。
え……………………友達?
「慶………………………」
「悠斗、お前さ………………一人で閉じこもり過ぎ。悩んでる事あるなら、ちゃんと口に出せよ。ろくな事出来ないかもしれないけど、俺だって、そこそこ力にはなれるよう頑張るし。………………………今回みたいなの、もう勘弁な」
笑顔のない、真剣な慶太が、ピシャリと俺をたしなめた。
友達。
涼以外、いないと思ってたよ。
だって、慶太は隼斗の友達だから。
「……………………めん…………………ごめん、慶太」
その日、俺は初めて今までの事を慶太に話した。
涼の事はメチャメチャ怒ってたけど、でも自分も、昔は隼斗をそれくらい好きだったって言ってた。
頑張って向き合おう。
俺が、支えてやるから。
慶太はそう言って、笑った。
甘えるって、こう言う事か……………………。
重かった身体が、気持ち楽になってきた。
涼、ごめんな。
隼斗、ごめんな。
俺、逃げないから。
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