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真夜中のドライブ1 (光side)
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Twitterアンケートで票数の多かった光と優のお話です。本編の裏側、雪っち送別会後のお話になっていますので、そちらをお読み頂いてからの方が分かりやすいと思います。それでも意味不明な点ばかりだとは思いますが、暇つぶし程度にお読みください<(_ _*)>
*
車って、こんなに揺れるものじゃないと思う。
荒過ぎる運転、顔色は変えずにレンズの奥の瞳は真っ直ぐ前を向いたまま。
俺は知ってる。
車の運転で人が変わるんじゃなくて、その人の本性が現れているだけって事を……クールな優は俺が王子様やってるみたいに演じられたもの。だから本当の優はどこか荒々しくて、いい意味で言えば情熱的。
お酒飲んだ時とかまさに本性丸出しだし。
そんな優も嫌いじゃないけど、腰が立たなくなるまで抱き潰されるのは次の日動けなくなるから辛い。
そんな男が俺の為に言う事聞くって凄くない?
真っ暗闇の中で、ハイビームの灯りを頼りに運転する俺だけの執事。ランちゃんのお店を出てから優のマンションに着くまで、ちょっとしたドライブが始まった。
車内は快適。
俺はもちろん助手席に乗ってるけど、乗ってるだけで何もしない。隣りで恋人が運転してるからって、せいのように頬を染めることもなければ運転中の優に飲み物を手渡すこともない。
だって、何もしたくないから。
無理に笑顔を見せる必要がない優の隣りで、出てくるのは溜め息ばかり。
「優、赤信号は止まれだと思うんだけど」
「夜中は注意して渡れだ、王子様」
当たり前みたいにそう言って車をぶっ飛ばす執事は、教習所でいったい何を教わってきたんだろう。交通ルールをガン無視して突き進むこの男に、免許を取らせた奴ってどうかしてると思う。
でも、きっと俺もどうかしてる1人。
「ユキなら、こんな運転しないよ?」
荒い優にユキという名のスパイスを振ってあげれば、途端に機嫌が悪くなるから。アクセルを踏み込む足に力が加わり、更に加速していくこの瞬間が好きだと思った。
「ねぇ、優……」
好きな想いが大きいほど、別れが辛くなる。
このまま夜が明けなきゃいいのにと、どれだけ願ったか分からない。
だけど、続けない言葉にどんな意味が込められているか、俺の執事なら分かってくれる。
「光、そろそろ雪夜に話してもいい頃なんじゃないのか?彼奴はもう気づいているぞ」
鋭いその瞳に俺を映し出すことはせず、俺の言いたいことを汲み取り問い掛けてくる優。やっぱり、俺はまだこの男から離れられそうにない。
それがとてつもなく悔しくて、意地らしく憎らしい。
繋ぎ止めていたいのは、何時だって俺の方だから……こんな自分、早くなくってしまえばいい。
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