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真夜中のドライブ3
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せいの為に生きてるわけじゃない。
大事な弟には違いないけど、俺は俺の為に生きてるつもり。それでも、俺が優と一緒にいる未来を選べないのは、このまま死ぬこともできないのは、俺が犯した罪の所為。
だからせめて、弟のせいには幸せになってほしいと願ってしまう。俺の全ての幸福を奪い去るくらいに、何も知らないあの子は幸せを手にしてほしい。
エゴだと言われても構わない。
俺がやらなきゃならないことは、俺の幸せを求めることじゃないから。
ユキがせいを奪いに来た日。
せいが初めて俺から離れていった日。
俺と優の未来は決まった。
「優、ごめんね」
出逢ったあの日に戻れたなら、大嫌いのまま過ごせたのかな。俺より優れたこの男に、嫌悪感しか抱けなかった入学式の日。
いつかくる別れが訪れたら、俺たちはきっと……元の友達には戻れない。助手席に乗ることはなくなり、まず会うことすらなくなって。
サヨナラって。
徐々に心で離れていく努力をしても、優の匂いや仕草がそれを全力で阻止しに掛かってくるけれど。いつか優が思い出に変わる日、俺は優に届かない愛してるを送るから。
今はまだ、精一杯の強がりを聞いて。
今宵だけの甘い夢に溺れさせて。
「王子様、今日は空が綺麗だよ」
優の家に近づいてくると、また何もない田舎道に逆戻りする。空気が澄んでいるんだろう……窓の外へと視線を移せば、執事の言葉通りに満天の星空が広がっていた。
「……この空の何処かにいるんだよ、きっと」
つい漏れた呟きは、貴方の心に閉まっておいて。
そのうち知る日が訪れるから、俺と2人だけの秘密にしようよ。
忘れないでね、約束だから。
お仕置き、されたくないでしょ?
なんてね。
俺が手加減無用で、お仕置きできるのは優だけだから。今日はどんなコトをしようか、俺は車内でずっとそのことだけを考えるようにしていた。
「今日はナニしてもらおうかなぁ……んーっと、フェイスシッティングとかどう?痛いのじゃなくて、苦しいコトしようよ」
「仰せのままに、王子様」
いつまで、この言葉を俺に捧げてくれるだろう。
マンションの駐車場に車を停め、ゆっくりエンジンが切られていく。さっきまで響いていたエンジン音が完全に消え、こんな風に俺達にも簡単に終わりがくればいいのにと思った。
「すぐっ……ッ、ん……」
「光、好きだ」
「うん、知ってる。だからもう何も言わないで」
前に進むことも、引き返すことも出来ない。
重ねられた唇が離れぬように腕を回して、今夜も出口の見えない闇の中へと溺れていく。
何度も、何度も。
心の中でサヨナラだけを叫びながら。
fin
ここまでお読み頂きありがとうございます。
雪っちが気づいてることに、光優も気づいているんですね。そしてそして、2人が別れを選択している理由の1つに、光が感じている罪の意識と、星くんの存在が大きく関係しているんです。なんとなくでもそのことを分かって頂けたら充分でございます。
星くんの名前に隠されたもう1つの意味は、本編で明らかにしたいと思います。まだまだ謎だらけの光優ですが、完結までにはその謎も解けると思いますので、もうしばらく本編の方もお付き合いしてくださると幸いです☆
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