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秘められた真実 4
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「飛鳥、もっと……」
「ちょい待ち、隼ちゃん。お前のこと抱くのは構わねぇけどさ、俺……恋愛とか興味ねぇから。女も男も俺、1度も愛したことねぇんだよ」
「んっ、分かってる……から、続きして」
本当に分かっているんだろうか。
セックスなんてもんはスポーツと一緒だ、格闘技だと捉えるヤツもいるかもしれない。そこに愛がなくても出来る行為、法を無視すりゃ合意がなくても出来てしまう愚かなもの。
フラフラと歩く隼と名乗った男を抱え、BARを出た俺は近くのラブボに入った。部屋のベッドにソイツを押し倒し、女を抱く時と同じようなキスをしてやれば、蕩けきった瞳で、もっととせがんでくる男がいる。
女のように柔らかな肉体でもなければ、キャンキャン喘ぐこともない。静かに吐息だけを漏らして、俺が与える快楽に眉を寄せる男。
その姿に俺が魅せられるなんて、どうかしてる。
女か男かの違いだけで、誰としても変わることのないいつもと同じセックスなのに。コイツとのソレは、何かが違う気がした。
「隼、忘れらんねぇ夜にしてやっから……俺から目、逸らすんじゃねぇぞ」
「あっ、すか…」
閉じられていた瞳が、ゆっくりと俺だけを映し出す。
綺麗な音を奏でるその唇で、俺の名を呼んだ男に新たな興奮を覚えた瞬間だった。
この男の前でなら、飾りも偽りもいらないかもしれない。遊ぶだけ遊んで人を愛せないと、初めて誰かに話した本音。1度きりの関係にするのは惜しく感じて、囁いた言葉に俺は思わず自嘲していた。
一連の流れで行為が終わり、ぐったりとした様子で眠りについた隼。きっと、こうして優しく抱いてやるのは今日が最初で最後だろうと思いつつ、隣りで寝息を立てる男の肌に赤く染まる痕を残す。
告げられた名前が本名かどうかも分からぬ相手、そんな男を抱き竦めて目覚めた朝は最悪だった。
「うわぁっ!?ここ何処、誰、何、なんで……僕、またやったんですね……すみません、失礼致します」
呪文を唱え、腰を庇い、素っ裸でベッドから抜け出そうとする男を背後から取り押さえた俺は深い溜め息を吐く。
「じゅーんちゃん、名刺ちょうだい?」
「あの、貴方は一体誰ですか。一応確認しておきますが、僕は昨晩貴方に抱かれ……っ、ん……ちょっと」
「見りゃ分かんだろ。それとも、俺ともう1回する?」
「しません、離してください。名刺なら差し上げますから、それでご勘弁を……」
自分から俺を誘っといて、全部忘れたなんて言わせない。やっぱりすげぇ面白いヤツを捕まえた俺は、この男を離しはしないと心の中で呟いていた。
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