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Same Dream 2
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「はぁっ、はぁ……」
オレの身体に変化が起きたのは、雪夜さんがいなくなってから数時間後のことだった。
物凄く喉が渇いて、どれだけ水分を取っても足りない。お腹が空いているわけじゃないのに、食欲を満たしたくて堪らない。
それでも、何を食べても味がしなくて、大好きなチョコレートさえ美味しいと思えなくて。風邪でも引いたんじゃないかと思うくらいに、オレの身体はどんどん熱を帯びていく。
本当なら、今頃オレは夕飯の買い出しに出掛けて。
雪夜さんが喜びそうなメニューを考えながら、食材を選んだりして……そんな風に過ごしているはずの時間に、オレはベッドで丸まっていた。
急激に変わってしまった身体。
昨日まではこんな身体じゃなかったのに、今日のオレは何かがおかしい。雪夜さんが言っていた通り、オレは本当に吸血鬼になってしまったんじゃないかと思っても、どうしたらいいのか分からない。
分かるのは、美味しそうな匂いがする雪夜さんの身体に、この牙を突き立ててその血を啜りたい……って、そう思ってしまうことだけだった。
「なんで、なんで……」
全然、大丈夫じゃなかった。
雪夜さんを送り出した後、こんな風になってしまうことが分かっていたなら。オレは、雪夜さんを引き止めることが出来ていたのかなって考えてしまう。
行かないでって。
オレの傍にいてって。
雪夜さんに言った言葉とはまったく違うことを、オレは伝えていたのかもしれないって。そこまで考えたけれど、オレの答えは最初から決まっていたんだと思った。
苦しいし、寂しい。
とてつもなく雪夜さんが恋しいし、得体の知れない不安に襲われて、オレは今にも泣き出しそうだけど。
オレと仕事どっちが大事、なんて。
そんなの、雪夜さんにとってどっちも大事だってオレは分かっているから。少しの間、オレが此処で待っていれば、雪夜さんは必ず帰って来てくれる。
だから、きっと。
こんな変な身体になってしまうことが分かっていたとしても、オレは雪夜さんを引き止めないんだろうなって思った。
それが正しい選択かは、分からない。
でも、オレは雪夜さんを信じているから。
大きくはない身体を小さく丸めて。
ただじっと、時間が過ぎていくのを待つしかなかった。
いい子にしてるって雪夜さんに言ったのに、今のオレは悪い子になってしまったみたいで。雪夜さんが帰ってきたら、オレは怒られちゃうのかなって思ってみたり、雪夜さんは今、オレの言葉を信じて安心してくれているのかなって考えてみたり。
沢山の思考を巡らせてみても、身体の状態は良くなるどころか悪化していく一方だった。
生気を失っていくような感覚。
朦朧とし始めた意識の中で、ガチャっと開いた扉の音が聴こえてきて。力が入らない身体を引き摺り、なんとかベッドから抜け出したオレは、帰ってきてくれた雪夜さんに勢い良く抱き着いていた。
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