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Let's go north! 7
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「青月、青月ッ!起きろ」
「……んー、んぁ?あれ、よこしませんせぇ?」
「なんでお前しか部屋にいないんだ?他のヤツらはどこ行った?もうとっくに就寝時間過ぎてるってのに、アイツらは……お前、何か知らないか?」
雪夜さんの声も聞けたし、ベッドもふかふかだし。
とても気持ちのいいオレの睡眠を邪魔してきてのは、生徒指導で修学旅行に帯同している横島先生だった。
「あーっと、わかんないです。みんないなくなっちゃって、オレ気がついたら寝ちゃってたから……みんな、まだ戻ってきてないんですか?」
「気持ちよさそうに寝ていたお前を、俺がわざわざ起こすってことはそういうことだ。俺はその辺探してくるから、青月は連絡取れるヤツに何処にいるのか聞いてくれ」
「……じゃあ、とりあえず西野君に連絡してみますね」
「もしも部屋にアイツらが戻ってきたら、俺の携帯に連絡くれ。これ番号だから、申し訳ないがよろしく頼むぞ」
昨日も弘樹を探し回って、今日はうちの班の3人を探し回らなきゃならない先生って大変だ。
寝起きで働かない頭でそんなことを思いつつ、部屋から出ていった横島先生の背中を見つめ、オレは西野君に電話を掛ける。
「あれ、出ない……っていうか、電源が入っていないか電波の届かないところにいるってどこにいんの、あの2人」
弘樹とデートしに行ったはずの西野君は、電波の届かないところまで駆け落ちでもしたらしい。急に心配になってきて、一緒にいるはずの弘樹にも連絡を入れてみたけど、弘樹のスマホも西野君と同じ対応だった。
そうこうしているうちに部屋の扉が開き、先に戻ってきた誠君と健史君は、それはそれは2人ともご機嫌で。
「ただいまぁ、チビちゃぁーんっ!」
「青月、遅くなって悪ぃな」
「喋らないで!服脱いでっ、今すぐ!!」
2人からふんわり香ってくるアルコールの匂いに気がついたオレは、急いで2人をシャワールームに突っ込むと、アメニティ用品の歯ブラシを手渡し証拠隠滅を図る為に全力を尽くした。
2人が着ていた服を適当に2人の鞄に突っ込んで、その代わりに着替えらしきものをベッドの上に放り投げて。そこまでしてからオレは横島先生に連絡を入れ、誠君と健史君が戻ってきたことを伝えた。
誠君と健史君はホテル内で迷子になったって、苦しい言い訳を添えて。
でも、どうやら本当に迷子になっていたらしい人が、この部屋戻ってきたんだ。
「僕、先生に怒られちゃった……弘樹くんと一緒に、帰ってから反省文書くの決定だよ。どうしよ、ただ迷子になってただけなのに」
「落ち着いて、西野君。無事で良かった……弘樹とどこ行ってたの?迷子になったってどういうこと?」
「あのね、屋上まで行くエレベーター探してたら、従業員用のエレベーターに乗っちゃったらしくて……上まで行ったのはいいけど、下りれなくなっちゃったんだ」
「……そんなことって、あるの?」
事実は小説より奇なり。
西野君の話を聞いてそう思ったオレは、この修学旅行は忘れたくても忘れられないものになると実感した。
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