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バカなキミのおかしな趣味 2
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「うっわ……サイズぴったり、キモい」
ごめんね、弘樹くん……僕、本気で弘樹くんのことをキモいと思ったの今日が初めてだから。
だから、許して。
そう心の中で何度も呟きながらも、出てくる言葉はやっぱりキモいに尽きる。面積の少ないショーツに僕のモノがなんとか収まっているのはきっと、精神的ダメージが大き過ぎるからだと思う。
レギンスのおかげで目立たない産毛はいいとしても、ない胸を保護するブラジャーをつけた感覚はものすごく気持ち悪い。
というより、全てが気持ち悪く感じて僕は頭を抱えてしまった。
だってさ……着替えたのはいいけれど、この格好で外へ出るのってマズいと思わない?思うよね、思うでしょ……どんだけバカなの、アイツ。
男子トイレから、女装して現れなきゃならない僕の気持ちまでは頭が回らないらしい弘樹くんは、一体どんな顔をして僕を待っているんだろうか。
そう思うことに全身全霊を注いで、やっとの思いでトイレのドアを開けた僕は、鏡を見ることすら出来ずに素早く手洗いを済ませて弘樹くんの元へ向かう。
僕を待つ間、壁に凭れてスマホを弄っていたらしい弘樹くんの姿は、やっぱりカッコイイって素直に思えるのに。僕はどうしてこんな格好をして、こんな気持ちにならなきゃいけないんだろうと思うと、惨め過ぎて声も出せないけれど。
「……ッ!?」
「ヤバいっ!めっちゃ可愛いッ!!」
人前で、勢い良く抱き締められて戸惑う僕のことなんて関係なく、弘樹くんは僕を強く抱き締めた後に両肩を掴んでまじまじと僕を見つめて。
「ありがとう、悠希……これで昼間でも堂々と、手繋いでデートできる。悠希が俺のモンだってこと、色んなヤツに見せつけたい」
「弘、くん?」
「俺、ずっと考えてたんだ。どうやったら、普通のカップルみたいに外でもイチャイチャ出来るのか……そんで、苦肉の策を思いついた」
苦肉の策、このバカからそんな単語が聞ける日がくるなんて……って違う、そうじゃない。
「弘樹くんは、僕と手を繋いでデートしたくて今日コレを用意したの?」
「うん、悠希なら絶対似合うと思うし違和感ないと思って通販で買った。もしものことを考えて、知ってるヤツには会わない所まで来たつもり」
どうしてだろう。
気持ち悪いと、本気で思っていたさっきまでの感情が薄れていく。そのくらい僕は今、弘樹くんの思いが単純に嬉しいんだ。
嬉しいんだけれども。
「弘樹くんの気持ちは分かったけど、だからって下着までこだわる必要なくない?」
「あー、それは俺の勝手な興味本位デス……って、まさかホントにつけてくれてんのか!?」
「着替えろって言ったの、弘樹くんじゃん」
ソックスとスニーカー以外、トイレの個室で全部着替えてピンク色のバッグに詰め込んだ僕の努力を返してほしい。
そう思っても、身に付けてしまったものを今更脱ぐわけにもいかず、僕は泣く泣く弘樹くんと手を繋いで目的地を目指すことになった。
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