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Trick or Treat! 1 (星side)
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Twitterアンケートで1位になった、ハロウィンのSSです。このお話は星くんが高校2年生の時、チェリブロ。の本編で描いていない過去話だと思って読んで頂けると幸いです。
秋晴れの空の下、桜木の葉も色づき始めた10月。
オレと雪夜さんがお互いに休日の今日は、デートという名のお買い物日和で。
「なんだか年々、イベントグッズの売り場が広がりを見せてませんか?」
オレの歩幅に合わせてゆっくり歩いてくれる雪夜さんは、周りを見渡しうんざりした顔をする。
「確かに、どこの店行っても仮装グッズが並んでやがる。ミーハーな日本人らしい考えだけどな、俺はこういうの好きじゃねぇー」
様々なキャラクターの着ぐるみや、色々な職種の制服、メイクアップするためのグッズだったり、仮装のための小物だったり。
10月31日のイベント、ハロウィン用のグッズが沢山販売されているショッピングモール内をキョロキョロとしながら、オレと雪夜さんは日用品の買い物を済ませていくけれど。
イベント事を好まない雪夜さんと、ちょっぴり楽しそうだなって思っているオレとではどうやら心境が違うみたいなんだ。
オレが仮装するってのは恥ずかしいけれど、雪夜さんが仮装した姿は見てみたい気もする。
スタイルがいい雪夜さんのことだから、きっと何を着ても似合うと思うし……それに、こんなイベントの時じゃなきゃ雪夜さんに仮装をさせるなんてことできないと思うし。
……あ、でもでも。
仮装しなくても、ハロウィン限定のスイーツを2人で楽しむくらいなら雪夜さんだって許してくれるはず。
パンプキンタルトとか、プリンとか。
カボチャを使ったスイーツ以外にも、ビビットな色使いが可愛らしいマフィンやクッキーとか。他にも、ちょっぴり怖い骸骨を模したラムネやチョコレートとか。
ハロウィンから連想して埋め尽くされたスイーツのタワーが、オレの頭の中で完成してしまって。
「雪夜さん、あの……仮装はともかく、ハロウィン限定のお菓子のバッケージとかは可愛いと思うんです。ほら、これとかどうですか?」
日用品の買い物を済ませ、食品売り場に辿り着いた途端にお菓子コーナーで足を止めたオレは、カートを押して歩いている雪夜さんの服の裾を引っ張った。
「お前が欲しいなら買ってもいいけど、それファミリーパックだぞ。1人で食いきれんのか?」
オレが目をつけたお菓子は、きのことたけのこの形をしているチョコレートのお菓子。そのお菓子のパッケージですらハロウィン仕様になっているのだけれど、雪夜さんが言う通り12袋を1人で食べることを考えると手が進まなかった。
「……やめときます。でも、オレは諦めませんから」
「菓子くらい好きなだけ買ってやるから、そんなに力まなくていい」
どうやら、オレは雪夜さんからどうしてもお菓子が食べたいと思われているみたいだけれど……オレの考えは、雪夜さんが思っていることとは全然違う。
でも、それは今この場で言うべきじゃないなって判断したオレは、ある計画を実行しようと独り企み、雪夜さんの背中越しで小さくほくそ笑んだんだ。
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