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「・・・雨宮。目的を言えよ。ただ俺を縛って写真撮りたいわけじゃないんだろ?・・・金か?それともサンドバッグか?」
「いや、どちらでも無いッス。他人殴る趣味無いしー、金とか困ってねーし?・・・あーでも、縛られてる霧島さんを写真撮りたいってぇのはありますけど、まぁ、・・・他にも色々?」
ようやく写真を撮る事に飽きたらしい雨宮が、制服に備え付けてある腰ベルトのポーチにデジカメを仕舞う。
そして代わりに取り出した物に、霧島は顔を顰めた。
濃い赤の太いベルトが二本と鎖が付いた悪趣味な風貌の手枷だ。
「結束バンドじゃ痛いでしょう?これ、長時間嵌めても痛くないんですって。でも気に入るのがなかなか無くって、探したんですよ?ホラ、霧島さんって手首太そうだからサイズも難しくて・・・」
聞いてもいないのに楽しそうにベラベラと喋り続ける雨宮に、背筋に嫌な寒気を覚える。
元々、雨宮は良く喋る男で、顔を合わせる度に質問攻めに合ったり適当な相槌に対しても長話を続けたり・・・だが、今の雨宮は違う。
「・・・あ、雨宮・・・ッ」
名前を呼ぶ声が裏返る。
悦楽とした顔で手枷を眺めていた目が、霧島の方を見て、霧島は息を飲んだ。
雨宮の深い焦げ茶色の瞳に、強い雄を感じる。
霧島も男であるから理解できる。だが、性的な欲求を孕んだ煮えるような熱い色を称えた瞳が、まさか自分に向けられる事があるだなんて想像したことも無かった。
この男は自分の事を、性的に見ている。その事が信じられなくて、逃げ出したいのに、見つめる瞳から目を逸らすことも出来なかった。
霧島は見下す雨宮を怯えた上目遣いで見上げながら、懇願するように震える唇を開く。
「雨宮、頼む。今外してくれたら殴らないし、この事を他人に話したりなんてしないから、頼むから、開放してくれ。な?もうやめてくれ。雨宮、」
縛られた身体を出来る限り乗り出して自分を見上げる霧島に、雨宮は一瞬驚いたように目を見開いて、それから、霧島を鼻で笑った。
いつもの傲慢で、気の強い態度を貫く霧島が一回り年下の自分に眉尻を下げながら懇願している姿が、たまらなく欲をそそる。雨宮は興奮を隠すこともなく感嘆の混じった吐息を吐いた。
「あー・・・せっかくの霧島さんのお願いだから、聞いてあげたいんだけどなぁ・・・」
「雨宮・・・」
「でも、ごめんなさい。これは俺の、ずっと前からの望みだったんッスよ」
口元に笑みを浮かべたまま、しかし少しだけ申し訳なさそうに眉尻を下げた雨宮の指先が、宥めるようにして霧島の頬をなぞる。
その手つきは、どうしようもないくらいの焼け付くほど熱くて甘さを覚えるほど優しい感情が篭っている気がするのに、霧島には、その感情の名前が分からなかった。
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