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ホントとウソ (Y side)
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俺はこの人の全てを共に背負っていくことは出来るのだろうか。
獅童さんの事に関しては自信がなくなる事ばかりだ。
今まで恋愛のことで悩んだことなど、一度もなかった。
俺が好きな子はいつも俺の事が好きで、思いが通じあい、付きあい、あわなくなってきたらフる。
獅童さんに思いが届き、結ばれたとしたら、その恋が終わることは絶対にないだろう。
獅童さんが俺に飽きたとき以外は。
「佐上くん~大丈夫~?もっと飲も~よ~」
酔い始めは、俺を気遣う事は止めない。
まだ泥酔という訳ではなさそうだ。
ふと獅童さんの顔を見ると、長い前髪が目にはいる。
人当たりもよくて、誰にでも愛想良くするくせに、前髪はいつでも壁を作っていて。
何度切れと言われても、適当に流し、一定の長さを保っていた。
前髪を見て思い出したが、ヘアピン。
何処においたっけか。
袋を漁ると
「あった」
灰色の猫がついたヘアピン。
「獅童、」
「え、な~に~佐上くん~」
前髪を軽くねじり、ヘアピンでとめる。
「?、なにこれ、こんなん買ってたの~?」
「前髪、邪魔」
「そう~?ごめんね~ありがと~」
へへへ、と笑ってまた次の缶に手を伸ばす。
「ストップ」
「へ?」
「忘れてんの、ピアス開けるんだよ」
みるみる青ざめていく獅童さんの顔。
「いや、ちょ、今日じゃなくてもさ」
酔いが覚めたみたいだ。
「今日やるって言ったし」
嘘はついていない。
「やだ、無理無理、」
「しょうがないじゃん、穴、塞がっちゃったんだから」
ピアッサーは前に買ったものがあったはずだ。
忙しかったから使えなかったけど、まさか獅童さんで使うとはね。
「こっち来て」
「いや、無理だし、ほんと、ゆるs
「はやく」
少し声を荒げて、ここへ座れと俺の足の間をぽんぽんと叩く。
声に驚き、しぶしぶといった感じで、俺の足の間に座る。
「いいこ」
落ち着かせるため、頭を撫でる。
怯えている獅童さんは小動物のようで可愛い。
……身長のせいか足への負担は大きいが。
「鬼……」
「鬼で結構」
少し抵抗したつもりなのだろうか。
泣きそうな顔で言われても、煽るだけだ。
「ちょーっと我慢しろよ」
子供を宥めるように言い聞かせる。
暴れないでくれると良いが。
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