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ホントとウソ (R side)
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俺は佐上に嫌われないだろうか。
佐上の事に関しては知ってる情報の方が多いのに。
今まで恋愛のことで悩んだことなど、一度もなかった。
俺が好きな子はいつも誰か別の人が好きで、思いは通ずることなく、諦めて来た。
佐上を愛して、俺達が結ばれたとしたら、その恋が終わることは絶対にないと言いきれるだろうか。
佐上が俺に飽きたときは?
困難にぶつかった時は?
考え込んでいると、佐上の暗い顔が目にはいる。
デジャヴ。
「佐上くん~大丈夫~?もっと飲も~よ~」
佐上のサポートをするべき俺が、俺だけが楽しんでいるのではないか、再び不安になる。
佐上の顔は、暗くても明るくても美しい。
恵まれた美形で、染めた茶髪がとても似合う。
何度となく見た顔でも、美しいと思うことは何度もあるものだ。
美形ゆえ女性ファンも多く、モテる。
天才とはまさに佐上の事ではないか。
ぼやぼやとそんなことを考えていると
「獅童、」
名前を呼ばれ顔をあげると、佐上が持っていたのは灰色の猫がついたヘアピン。
「え、な~に~佐上くん~」
前髪を軽くねじり、ヘアピンでとめられる。
「?、なにこれ、こんなん買ってたの~?」
知らなかった、いつの間にこんなもの。
「前髪、邪魔」
「そう~?ごめんね~ありがと~」
可愛い猫のヘアピンは多分女性用なのだろうけど、嬉しいものは嬉しかった。
今日はよそよそしかった気がしたから。
緩んだ顔のまま次の缶に手を伸ばす。
「ストップ」
「へ?」
突然止められて、何かしたかと佐上の顔を見る。
「忘れてんの、ピアス開けるんだよ」
待ってましたと言わんばかりのサディスト顔。
「いや、ちょ、今日じゃなくてもさ」
酔いは一瞬で覚めた。
「今日やるって言ったし」
嘘はついていない、が
「やだ、無理無理、」
「しょうがないじゃん、穴、塞がっちゃったんだから」
それはそうだがそうではなくて。
心の準備もなしにいきなり、ピアスの事など忘れていた。
「こっち来て」
「いや、無理だし、ほんと、ゆるs
「はやく」
おろおろとしている俺に痺れを切らしたのか佐上は怒ったように声を荒げた。
声に驚き、しぶしぶ足の間に座る。
「いいこ」
頭を撫でられる。
怖いが、撫でられるなんて久しぶりで、嬉しい。
…足への負担は大丈夫なのか。
「鬼……」
「鬼で結構」
わずかな抵抗は避けられた。
涙が出そうで情けないが、怖い。
「ちょーっと我慢しろよ」
子供を宥めるように優しく言われる。
子供扱いするなら、やめてくれはしないか。
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