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獅童 転 (Y side)
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「買ってきちゃった」
「あ?」
「チケット、二人分」
「は」
「中々良い席だと思うけど…」
いや、席とかじゃねぇよ。
ほんとに、どうしよう。
「……怒ってる?」
「……少しな」
恐々と俺の顔を覗いた獅童さんは、ごめん、とすぐ謝ってきた。
「チケットどうしよう……」
おろおろと二枚のチケットを振り回す獅童さん。
見るしかないのか、と頭を抱えていると
「ん~?あ!理央ちゃん?おーい!」
少し離れた場所で短いスカートにかかとの高い靴で手を振りながら近づいてくる女。
冬だ。
「冬!お前ほんとに最高の妹だな!!」
「は?いきなりなにキモ」
獅童さんが振り回すチケットを取り、
「これ!見ろよ!コイツと!」
コイツ、と指を指したのは隣にいる男。
細くスラッとしていて目が大きい、パッと見は髪の短い女のようだ。
「なにこれ…あぁ!これか!見る?夏希」
「いや、ちょっと待ってよ、この人誰さ」
「コレ?コレは兄貴みたいなモノだよ」
声まで女みたいだな……何て思ってると妹から言われた爆弾発言に腹をたてる。
「俺は雪、冬の兄です」
「あ、お兄さんなんですね、挨拶遅れてすいません、飯田 夏希(イイダ ナツキ)です」
「冬の……彼氏さん?」
「あー……はは、そんな感じです」
礼儀はしっかりしてるな……コイツほんとに冬の彼氏か?
「挨拶とか良いよこんな奴に」
「お兄さんにこんな奴とか言うなよ」
「はいはい、理央ちゃん!チケットありがとう~」
話に入らず何やら考え込んでいた獅童さんは肩を跳ねさせて、微笑んだ。
「いや、大丈夫だよ~」
「かわりに、はいこれ」
「?…これ、あのアクション映画の…」
「そうそう!私たちはこっち見ようとしてたんだけど、夏希がこっちの恋愛映画見たがってたの」
趣味も乙女……。
「じゃあ夏希君の意見無視したのかよ」
「何が悲しくてクソ兄貴のラブシーン見なきゃいけないわけ」
この生意気な口……!!
今すぐつねってやりたいが、彼氏くんの前なので我慢してやる。
家帰ったら覚えてろ。
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