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居候
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自分でも、カッとしてしまうと制御とかできねぇ。それは、生まれたころからの性分で、一生改善とかされねーんだろうと諦めちゃいる。
後悔なんか、するはずもねぇんだが、住むところもなくダチの家で養われている状態には、やはり、思いとどまった方が良かったかもしれない。
大体、上司とか言う奴が上から四の五の言ってくるのが気に食わなくて、思わず軽くぶん殴っちまった。
ちょっと鼻血吹いたくらいなのに、警察呼ぶとか、ホントに訳が分からなすぎる。
会社をクビになることで、警察沙汰まではならなかったんだが。
そんでも、道を外せば、俺にも仕事をくれるっていうツテはあるんだけどなァ。
厄介なのは、居候先の幼馴染みがそれをやったら縁を切るとか言うんで躊躇している。
なんせ、なんやかや世話になってるし、まあ、10年以上一緒につるんでる訳だし。俺もその縁を切られるのは、心許なくなる。
客引きの仕事も、金曜くらいしかねーし。暇すぎて死にそうだ。
ガチャと、鍵の開く音がして、少しよれよれになったスーツ姿の幼馴染みが入ってくる。
「おかえりー」
パラパラとエロ本めくりながら玄関口へ視線をやると、疲れた表情で中に入ってくる。
幼馴染みのライトこと、ライは、中古車専門のセールスをやっているらしく、まあ、もう半年たつけどクビにはなってねーから頑張っているんだろう。
「ハルカ、今日は?何してたんだ?」
俺の名前はハルヨシなんだが、遥佳と書くので、ライは俺をハルカと呼ぶ。
「エロ本読んでちょっとシコったり、後輩のヤツらとLINEしたりしてたし。あ、LINEでヤレそうな女の子物色とかなァ。ハメ撮りでもして、ゆすれたら儲けじゃね?」
非常に非生産的な1日だ。
オマエとは違う。
社会に必要とされているオマエと、俺は生きている意味すら違ってるんじゃねーかと思ってる。
「キャハ、あーね、ちょっといか臭い気がしたァ。俺も外回りばっかだったしなぁ。イイオンナいた?」
「不作、不作。ニートには興味ねーみたい。ライはどっかツテねーの?ちんこ腐りそう」
「ポロッと落ちそう?キャハ、ハルカは相変わらず下品なんだから。そろそろ実家にはかえらんの?」
意外にもライは実家に帰れのサインを出してくる。
そりゃ、居候いたらライも女の子連れこめねーしな。
「作業場壊されてから、絶縁状態だしなァ。もう俺出てった方がいいよな?」
もう、半年も世話になってる。
そろそろ、なんとかしなきゃいけないのは、わかってる。
「なーによ、キャハハッ、ハルカらしくない。好きなだけ居ろよ」
金さえとらないし、むしろ、俺のがライから小遣いとか貰っている状態だ。
「ってもなァ、カネも入れてねーしなぁ」
「ふうん?気にしてんの?マジで、らしくねー」
からからと笑いながら、ライは俺の近くにくると、冷蔵庫から持ってきたビールを頬にくっつける。
「ッ、つべて、オマエ、冷たい!」
「じゃあ、体で払うのもアリだけど。俺もたまってるしー」
イタズラっぽく俺に提案するライの表情に俺は一瞬かたまる。
確かに、高校ン時は男をヤッたりしたことはある。
まあ、それもなんつーか縄張り争いの中の力を示すためとか、俺の片思いからのってのもあったが、自分にそれが降りかかるとか考えたこともない。
「そりゃ、勘弁。土方の仕事でも、探すわ。どっかでゆすりたかりできる商売ねーかなァ」
「ぶははは、断られたよ。けどよ、ハルカ、絶対に裏には関わるなよ。関わったら、本気で、縁切るからな」
笑いながらも、俺を見る目つきは真剣でちっとも笑ってなかった。
それから、1ヶ月もたたず、俺は奴の忠告を無視して奴の家を出ると、裏の商売に手を出した。
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