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討ち入り覚悟 SIDE Right
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工藤さんから渡された事務所の場所は、繁華街のうらびれた場所だった。見るからにやばそうな雰囲気だ。
緊張で体がこわばる。どうにかして、ハルカを取り戻さなきゃとばかりに頭がぐるぐるとしている。
いつだって冷静沈着と呼ばれていたのに、そんな俺のかけらすら今はない。
「本丸の事務所じゃなくて、分所みたいなとこだね。でも、まあ、ヤバイ人多そう」
士龍は特有の余裕ある表情をむけると、その分所のドアを開いて何気ない様子で中に入っていく。
って、オイオイ、何いきなり入っていくんだよ!?
慌てて俺は士龍の後を追って中に入る。こいつのこーいう行動はよくわからない。
笑顔のまま中に入っていって、受付のいかつい男に声をかけている。
将兵はちゃっかりと士龍の後ろについて、いかつい男に威嚇するような顔つきをしている。
おーい!こいつら、コワいものなしかよ!!
突っ込みどころ満載だが、とりあえず士龍の横につく。
「ここで、1番偉い人に会いたいんだけど?」
士龍の裏を固めるようなフォーメーションをとりながら、階段を降りてくる構成員に対して隙をみせない。
高校生相手に本気にはならないだろうが、油断はできない。
「オマエたちは東高校のガキどもか。就職希望か?偉い人にって大きくでたな」
受付の男は特に脅された感もなく、静かに凄んでみせる。
もちろん、士龍はそんな凄みに尻込みした様子もない。
「就活とかじゃないんだ、人を1人探している。ここで世話になってると聞いて、引取りにきたんだ」
俺はポケットから、ハルカと卒業式の時に撮った写真を出して見せた。
入院してたんで、卒業式は出られなかったが、病院で一緒に撮ったものだ。
男はそれを見ると一瞬目をとめて、ちょっと間を置いてから首をふる。
「東高出のガキは周りにわんさといるからな。ちと覚えてねーな。人探しなら、探偵さんかサツに依頼するんだな」
けんもほろろな口調であしらう男を俺は思わず襟首をつかんで引き寄せる。
周りの空気が一触即発に凍った。
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