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「本当に、今のは俺が悪いんだけど…」
もう一度言うと、コジマさんは浮かせた腰を戻す。
そして、一つ咳払いしてから、再び話し始めた。
「一応、基本的にはこんなノリで楽しくやりたいよ。
でも、でもさ、肝心な時に、茶化したり誤魔化したりしたら、絶対続かないと思うんだよね…俺たち。」
「それって、自分の事も言ってる?」
「うん。お互い、その癖が強いじゃん?」
「そう…だね。」
そうは言われても、僕にはあまりピンと来なかった。
解ってる癖に、それの何が悪いんだよ。と、つい思ってしまう。
多分、こう言うところがダメなのだろう。
コジマさんも、僕がピンと来てない事に気付いているのだろうが、特に指摘してこなかった。
その代わり、慎重に話の筋を変えない様、進める。
「甘々な内はいいけど、慣れて来たら、絶対「ハッキリ言えよ!」「もう、わかんないよ!」みたな感じで、喧嘩ばっかりになると思う。
だから、付き合うのなら、ちゃんと締めるところは締めたいんだよね…あ、エロい意味じゃないよ……って、ほら…また俺…」
まるで、一人舞台を演じてるかの様に、オーバーアクション、百面相で、コジマさんが頭を抱えた。
この時点で、僕にも言いたい事はかなりあったが、それも和えて呑み込む。
「わかったから、続けて。」
「マジでごめん。
じゃあ、続けます。
とにかくね、ご覧の通り、俺も相当、いい加減で、コンビニでも言ったし、昼間も言ったけど、相当わがままなわけ。」
「うん。」
「だから、既に、ひー君に要求したいことは一杯あるけど、今は一つだけ言わして。」
「……な、なに?」
また、空気が張り詰めた。
このコロコロ変わる雰囲気だけでも、もう一杯一杯なのに、これだけ勿体ぶった間をとられると、やっぱり緊張する。
自然と背筋が伸びた。
それなのに…
「あ、ちょっと待って、その前に一つ確認。」
と、また打ち止めをかける。
「もう、なんなんだよ!締めるところは締めるんじゃねぇのかよ!」
流石にキレた。
それにも関わらず、奴は真剣な眼差しを向けてくる。
「俺のこと好き?」
「えっ?」
怒りなんて吹き飛ぶ一言だ。
これこそ、不意打ちだろ。
顔が急激に紅くなるのがわかった。
もう、それだけで解るだろうし、奴も解ってて聞いているのだろうけど…
「俺のこと、少しは好きになった?」
少し潤んだ瞳で、重ねて聞いてくる。
「…好き……に、なって……きた!!!バカ!!!」
恥ずかしさのあまり、顔が吹き飛んだかと思った。
堪えきれずに、鼻先まで迫った顔を押し戻す。
「いてててて。」と奴は嬉しそうに言った。
そして「でも…」と話を戻す。
「信じられない。」
は?本当に、今更、何言ってるんだこいつ…
怒りと言うより、吐き気の様な物が込み上げる。
「あ?なんだそれ?」
「いや、まあ、聞いて…」
「つーか、なんなの?あんたこそ、俺の事、弄んで楽しんでんじゃないの?」
「いや…だから…」
「え?なんなの?マジで…あんなことしといて——」
「いいから、聞けって!」
お決まりのパターンなのか次の瞬間、ぐるりと景色が回転した。
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