アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
*66*
-
一旦外に出て、コンビニの横手にある、物置の影に置かれたコジマさんの原付に座って閉店作業が終わるのを待つ。
寒いからと言って、買ってくれたのは、ホットココアだった。
それを手の中で転がしながら、子供扱いされてんのかな?と思った。
多分、されてるのだろう。
ガキとか言われたし。
三つしか違わないのに…
でも、思い起こしてみれば、恋愛に対する経験値の方は、格段にコジマさんが上だろう。
好きな人には、すぐ好きと伝えるって言うし…
容姿も性格も、モテそうだし…
そこで、ふとあの女子大生らしきコの笑顔が浮かんだ。
コジマさんとあの子…凄くお似合いだった……
なんで、僕?
本当に、僕…?
「ごめんな。寒かっただろ?」
白い息を弾ませながら、コジマさんが駆け寄ってくる。
僕も立ち上がる。
僕の住むアパートには駐輪場がないので、前回同様に、原付はここに置いて行く事にするらしい。
僕たちは並ぶなり、ごく自然に手を繋いだ。
流石に、人通りの激しい昼間にそんな事をするのは抵抗があるが、この時間にこの辺りで人とすれ違った事は皆無だった。
まあ、今更、二、三人すれ違ったところで、なんとも思わないけどね。
「なんか、今日は素直じゃない?」
コンビニが見えなくなった辺りで、コジマさんが、横目で探る様に僕を見下ろす。
「そう?普通じゃない?」
コジマさんの方は、あえて見ずに、涼しい声で答えた。
コジマさんが、小さく笑うのがわかる。
「いや、気持ち悪い…」
「気持ち悪いとか言うな!」
恋人に向かってとは、まだ言えないんだっけ?と、ハッとした。
「今日は?泊まってくの?」
なんとなく、焦って、そんな事を聞いてしまった。
確か、明日は公休なはずだし、僕もそのつもりで聞いたのだけど、返ってきた答えは、意外にも「いや…」だった。
「帰るよ。エロい事、しちゃいそうだし…」
「じゃあ、送ってくれてるだけ?」
「なに?エロい事、して欲しいの?」
「なっ!?…ばっ………
…………しても、いいよ。」
コジマさんは茶化したつもりだろうけど、僕は本気だった。
なんだか、無性にやるせなかったのだ。
「えっ!?」と戸惑うコジマさんの腰に、僕は抱きついた。
こんな事、素直に出来ているわけじゃない。
やっぱり、こんな自分が気持ち悪いと思ってしまうのは、どこかに抵抗があるからだろう。
それでも、本当に今日はやるせない気分なのだ。
コジマさんは、僕の頭を優しく撫でた。
そして、
「また、変なの出てるな…いや、あるいはいい兆候なのか?」
と、ブツブツ言ったのが気に食わなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
66 / 119